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給与計算DXとは|期待できるメリットと導入の基本的な流れ

目次

給与計算業務に、課題を感じている企業は少なくありません。よくある悩みとして、手作業が多くミスが発生しやすいことや、業務に時間がかかることなどが挙げられます。解決策として注目を集めているのが給与計算DXです。具体的に、どのような取り組みを指すのでしょうか。

ここでは、給与計算DXの概要を解説するとともに、期待できるメリットや導入の流れなどを紹介しています。以下の情報を参考にすれば、全体像を理解できるはずです。業務の効率化などを目指している方は、参考にしてください。

給与計算DXとは?

給与計算DXとは、給与計算業務にデジタル技術を導入し、業務プロセスを変革する取り組みです。経済産業省は、DXを以下のように定義しています。

⚫デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。 ⚫また、そのためにビジネスモデルや企業文化等の変革に取り組むことが重要となる。 引用:(pdf)経済産業省「デジタルガバナンス・コード 実践の手引き(要約版)」 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/tebiki-yoyaku.pdf

この定義を踏まえると、デジタル技術を活用し、給与計算業務に新たな価値を創出することが給与計算DXといえます。

給与計算DX導入によるメリット

具体的な価値の例として、以下の点があげられます。

業務の効率化と時間削減

給与計算のDX化により、業務効率化を目指せます。給与計算に関係するデータを一元管理して、これまで手作業で行っていた業務を自動化できるためです。参考に、自動化できる業務の例を紹介します(※具体的な業務はケースで異なります)。

【自動化できる業務】

  • 社員情報の更新
  • 各種手当の計算
  • 社会保険料の計算
  • 所得税の計算
  • 賞与の計算
  • 有給休暇の付与

さまざまな業務を自動化できるため、給与計算にかかる時間を削減できます。空いた時間をコア業務に割り振るなど、業務全体の効率化も目指せるでしょう。

正確な給与支給

関係するデータをデジタル化して一元管理するとともに、給与計算業務を自動化するためミスも発生しにくくなります。紙のタイムカードに記載された情報を、表計算ソフトに転記してから、給与を計算するなどの業務が不要になるためです。

原則として、工数が増えるほどミスは起こりやすくなります。データのデジタル化、計算の自動化により、ミスが起こる確率は大きく減少します。業務品質ならびに業務に対する信頼性を高められるでしょう。

リアルタイムでデータにアクセス可能

必要なデータにリアルタイムでアクセスできる点も魅力です。データを一元管理するため、特定の資料がある場所を探す必要はありません。

また、条件が整っていれば、遠方からデータを確認することもできます。給与に関連するデータを利活用しやすくなるでしょう。トラブルに迅速に対応したり、適切な意思決定を行ったりできるようになります。

属人化の防止

給与計算をDX化することで、業務の属人化も防ぎやすくなります。業務の属人化は、特定の担当者以外、業務の進め方、進捗状況などがわからない状態です。給与計算であれば、担当者だけが計算方法や関連法令を理解している状態といえるでしょう。

当該スタッフが休職したり、退職したりすると、業務が滞ってしまいます。給与計算DXを導入すると、業務フローを統一できるうえ、複数人で業務を分担できるため、属人化が起こりにくくなります。特定のスタッフに依存しない体制を構築できます。

コストの削減

DX化の推進により、コストの削減も期待できます。主な理由は以下のとおりです。

【コストを削減できる理由】

  • 使用する紙やインクの量が減る
  • 保管する書類が減る
  • 給与計算に関わるスタッフが減る
  • 給与計算に関わるスタッフの残業が減る

単に、紙やインクのコストが減るだけではありません。書類の保管にかかるコストや人件費も減らせる可能性があります。ケースによっては、大幅なコスト削減を実現できるでしょう。

法令遵守の強化

給与計算のDX化は、法令遵守の強化にもつながります。ベンダー側で、法改正に対応するケースが多いためです(原則としてクラウド型の製品)。

給与に関連する法令は、頻繁に改正されます。見落としがあると、思わぬトラブルに発展するため注意が必要です。法令違反の内容によっては、罰則を科されることも考えられます。コンプライアンスの強化によって、トラブルを未然に防げる点も給与計算DXの利点の一つです。

給与計算DX導入による給与計算を効率化する方法


給与計算をDX化する方法には、いくつかの選択肢があります。ここでは、以下の3つについて解説します。

給与計算ソフトの活用

給与計算ソフトは、給与計算業務を管理、自動化するツールです。具体的には、以下の業務などを自動で行えます(具体的な機能は給与計算ソフトで異なります)。

【給与計算ソフトの機能】

  • 給与・手当・社会保険料などの計算
  • 給与の振り込み
  • 給与明細書の発行
  • 法定帳票の作成

入力したデータをもとに年末調整に対応するソフトも少なくありません。また、多くの製品が、次に説明する勤怠管理システムと連携できます。

勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムは、従業員の勤怠データを自動で記録、集計して管理するツールです。具体的には、以下の業務などを行えます。

【勤怠管理システムの機能】

  • 打刻の自動化
  • 労働時間の自動集計
  • シフト管理
  • 各種帳票の出力
  • 法令対応

給与計算ソフトと連携する製品が多い点もポイントです。連携により、転記の手間やミスを減らせます。勤怠管理から給与計算までの流れをスムーズにして業務の効率化を図れます。

クラウド型給与計算システムの導入

クラウド型給与計算システムは、インターネットを介してサービスを利用する給与計算システムです。中小企業を中心に、選択する企業が増えています。社内にシステムを構築するオンプレミス型との主な違いは以下のとおりです。

項目

クラウド型

オンプレミス型

長所

インターネットを介して利用。原則として、常に最新版を利用できる

社内にシステムを構築。クラウド型に比べて、カスタマイズ性が高い

メリット

  • 初期投資を抑えられる
  • 原則として、法改正に自動で対応できる
  • 遠隔地から操作できる
  • 業務にあわせたシステムを構築できる
  • 社内でセキュリティ対策を行える

デメリット

  • カスタマイズ性が低い
  • 高額なイニシャルコストがかかる

一概に、どちらが優れているとはいえません。自社の環境にあわせて選択することが大切です。

給与計算DX導入のステップ

給与計算DXを導入する基本的な流れは次のとおりです。

1.目的と現状の問題の把握

具体的なシステムを選ぶ前に、導入の目的を明らかにして、現在の問題点を把握します。これらにより、選ぶべきシステムは異なるためです。参考に、整理したいポイントを紹介します。

【整理したいポイント】

  • 給与計算業務の流れ
  • 各業務の担当者
  • 手作業で行っている業務
  • 業務に使用しているツール(紙の帳票などを含む)
  • ミスが起こりやすい業務
  • 業務上の課題

これらのポイントを整理することで、給与計算DXで解決すべき課題が明確になります。

2.適切なシステムの選定

目的と明らかになった問題点をもとに、自社が求めている要件を整理します。検討したい主な要件は以下のとおりです。

検討したい要件

概要

機能

自社の業務に必要な機能を検討

運用

自社の体制をもとに、クラウド型・オンプレミス型、連携できるソフト、ユーザー数などを検討

コスト

予算をもとに、初期費用、月額費用などを検討

これらの要件を明らかにしてから、自社に適したシステムを選定します。トライアルの活用や見積もりの取得を通じて、複数の製品を比較検討することが重要です。

3.システムの導入と運用

選定したシステムを導入します。既存のデータを移行する場合は、データの正確性、整合性を重視する必要があります。これらに問題があると、再入力の手間がかかるうえ、ミスも発生しやすくなります。

また、運用の体制を整えておくことも大切です。管理責任者を配置する、社内のスタッフに周知するなど、業務を円滑に進められるようにしておきましょう。マニュアルを準備して、操作トレーニングを行うと、属人化を防ぎやすくなります。

4.効果の測定と改善

システム導入後は、効果の測定と改善を繰り返します。数値目標を立てると、客観的に効果を検証できます。目標の例は以下のとおりです。

【目標の例】

  • 給与計算にかかる時間
  • 差し戻しの対応にかかる時間
  • ミスの件数

システムの使いやすさなど、数値化しにくい情報を集めることも欠かせません。目標を達成できない場合は、原因を明らかにして、対策を講じます。効果測定と改善は、給与計算DXの成否に大きな影響を与えます。うまく機能しない場合も、PDCAサイクルを回し続けて、精度を高めていくことが大切です。

給与計算DX導入時の注意点

続いて、給与計算DXの導入時に気をつけたいポイントを解説します。

初期コストと社内調整の負担

給与計算DXの導入には、一定の費用がかかります。具体的な費用はケースで異なりますが、オンプレミス型はクラウド型よりイニシャルコストが高くなる傾向があります。いずれを選ぶにせよ、詳細を確認してから導入することが大切です。

また、導入時に社内調整の負担もかかります。人事部、経理部を中心に、複数の部署が関わるためです。各部署の要望をヒアリングしたり、各部署に与える影響を明らかにしたりして、体制を整える必要があります。

運用定着までにある程度の時間が必要

給与計算DXの定着には、原則としてある程度の時間がかかります。業務フローが変わったり、システムの操作方法が変わったりするためです。一時的にミスが増えることも考えられます。この点を踏まえて、計画的に導入することが大切です。

具体的な対策として、現場を対象に研修を実施する、問い合わせ窓口を設置するなどが考えられます。スタッフに心理的な抵抗が見られる場合は、効果を数値で示すことが有効です。扱いやすさを考慮することも重要です。直感的に操作できる設計であれば、導入時の負担を軽減できます。

セキュリティとデータ管理の強化

給与計算DXで扱うデータは、重要な個人情報です。したがって、機能やコストだけでなく、セキュリティ面にも配慮する必要があります。

一般的に、オンプレミス型は専門知識があれば高度なセキュリティ体制を構築しやすいと考えられています。自社で細かな設定を行えるためです。クラウド型のセキュリティ体制はサービスで異なります。ベンダーの方針、取り組みを確認してから選択しましょう。

給与計算DXを導入して業務効率を改善

ここでは、給与計算DXについて解説しました。主な導入方法として、給与計算ソフト、勤怠管理システム、クラウド型給与管理システムがあげられます。これらの活用により、業務の効率化やコストの削減などを目指せます。

ただし、製品の選択や運用体制の整備などには注意が必要です。取り組みを誤ると、想定していた効果が得られない可能性があります。不安を感じる方は、社会保険労務士法人エスネットワークスにご相談ください。給与計算DXの導入支援だけでなく社内連携のサポートも行っています。グループ会社の税理士法人と連携した広範な専門サービスを提供することも可能です。 

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