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【アウトソーシングほっとニュース】「5月病」から続く不調に注意! 社員の心とモチベーションを守る「6月病」対策

4月の新体制がスタートしてから2ヶ月が過ぎました。新しい環境にもようやく慣れ、職場が落ち着きを取り戻してくる6月。本来なら、社員が安定して力を発揮しはじめる時期のはずです。
ところが現場では、「なんだか疲れやすくなった」「仕事へのやる気が出ない」と口にする社員が、この時期に少なからず増えてきます。先日の記事では「5月病」を取り上げましたが、実は6月もまた、社員のメンタル面のケアが必要になる注意の時期なのです。
実際、企業の人事担当者の46.1%が「6月は他の月と比べてメンタル不調の相談が増える」と感じているという調査結果もあります。新年度の慌ただしさが一段落したこのタイミングで、社員の不調が表面化しやすくなる――これが「6月病」です。
今回は、人事担当者や管理職の皆様に向けて、近年注目される「6月病」の実態と、企業が今日から取り組める具体的な対策をご紹介します。

そもそも「6月病」とは?

「6月病」とは、新年度の業務や環境にある程度慣れてきた6月前後に、仕事や私生活へのモチベーションが下がったり、疲労感を強く感じたりする状態のことを指します。医学的な正式名称ではありませんが、近年この時期特有の不調として広く知られるようになってきました。
マイナビの調査(2026年)によると、正社員の5人に1人が現在の職場で6月病を経験しているとされています。特に多いのが20代(27.6%)と30代(23.8%)の比較的若い世代です。社会人経験が浅い社員ほど、環境の変化による疲れをため込みやすい傾向がうかがえます。
5月病からの延長で不調が続くケースもありますが、6月病には6月ならではの引き金があります。主に次の4つの要因が複雑に絡み合っているのが特徴です。
① 環境に慣れたことで見えてくる「現実」
入社・異動直後の張りつめた緊張感が薄れてくると、それまで気にならなかった職場の不満や違和感が見えはじめます。「思っていた仕事と違った」「この職場の慣習が合わない」――こうした“理想と現実のギャップ”を感じやすくなるのが、ちょうど6月頃なのです。
② 賞与・評価結果への不満
多くの企業で、夏の賞与や上半期の評価が示されるのが6月前後です。自分なりに頑張ってきたつもりでも、結果が期待に届かなかったとき、モチベーションは大きく揺らぎます。評価への納得感の有無が、この時期の社員の心理状態を左右します。
③ 祝日がないことによる意欲の低下
ゴールデンウィークが終わると、6月は1日も祝日がありません。次の楽しみが見えにくく、「ただ働き続けるだけ」という感覚に陥りやすくなります。気持ちの面でのリフレッシュの機会が乏しい1ヶ月なのです。
④ 梅雨時期ならではの気候の変化
梅雨に入ると、天候や気圧の変化が続きます。これが頭痛やだるさ、気分の落ち込みといった体調不良を引き起こすことがあります。体の不調は、そのまま心の不調にもつながりやすいものです。

こうした要因が重なることで、「疲れやすい」「やる気が出ない」といった症状だけでなく、「気分の落ち込み・不安が続く」「朝、出社するのが億劫になる」など、心と体の両面に変化が現れてきます。

企業としてできる3つのアクション

6月病の要因には、気候や祝日の少なさのように、企業側ではどうにもならない外的なものもあります。しかしその一方で、企業側の意識的な働きかけによって防げる・和らげられる部分も大いにあります。ここでは、職場で取り組める3つのアクションをご紹介します。
① 積極的な「有給休暇の取得」を促す
ゴールデンウィーク以降、祝日のない6月は、心身ともに疲れがたまりやすい時期です。梅雨の気候も重なり、自然に任せていてはなかなか疲労が回復しません。だからこそ、意識的に休みを取ることが大切になります。
ポイントは、社員が自分から「休みたい」と言い出すのを待つのではなく、会社側から取得を後押しすることです。たとえば、
    「梅雨の時期はリフレッシュ休暇を取りましょう」と全社的に呼びかける
    上司が率先して年次有給休暇(以下、年休)を取得し、休みやすい雰囲気をつくる
    計画的に年休を割り振る「計画年休」の仕組みを活用する
といった工夫が考えられます。
なお、年に10日以上の年休が付与される社員については、会社に「年5日の取得をさせる義務」があります。年度末になって慌てて消化させるのではなく、6月のようなタイミングで前倒しに取得を促しておくことは、社員のケアと法令遵守の両面で意味があります。「休ませること」も会社の大切な役割だと捉えていただければと思います。
② 「評価のフィードバック」を丁寧に行い、対話の機会を設ける
6月は、賞与や評価の結果が社員に示されるタイミングと重なることが多い時期です。そして、その結果の受け止め方が、社員のモチベーションに直結します。6月病の要因の1つにも「評価への不満」が挙げられていました。
ここで注意したいのは、「結果を伝えること」と「納得してもらうこと」は別だという点です。調査では、半数以上(55.6%)の社員が「フィードバックも結果の共有もない」あるいは「結果だけを知らされる」状態にとどまっているという実態が明らかになっています。点数や金額だけがポンと伝えられても、社員は「なぜこの評価なのか」が分からず、かえって不満や不安を募らせてしまいます。
大切なのは、結果を共有するだけで終わらせず、対話の機会をつくることです。たとえば1on1の場で、•    どこが評価されたのか(できていること)
    次に何を期待しているのか(伸ばしてほしいこと)
を、上司の言葉で丁寧に伝える。これだけで、社員の受け止め方は大きく変わります。「ちゃんと見てもらえている」という安心感が、評価への納得感につながり、次の意欲を引き出すのです。
評価を伝える側の管理職にとっても、最初は気が重い場面かもしれません。「ダメ出しの場ではなく、これからを一緒に考える場」と位置づけて臨んでいただくと、お互いに前向きな対話になりやすくなります。
③ 顕在化する「人間関係」や「業務ミスマッチ」の悩みに寄り添う
環境に慣れてきた6月だからこそ、それまで見えにくかった悩みが表面化しやすくなります。「この業務、自分には合っていないかもしれない」「あの人との関係がしんどい」「同期や周りの成果と比べて落ち込んでしまう」――こうした悩みは、緊張がほぐれた今だからこそ顔を出すものです。

ここで効いてくるのが、5月病対策でもお伝えした「小さなサインを見逃さない」という姿勢です。

こんな変化に気づいたら

表情が暗くなった、口数が減った

遅刻や欠勤、早退が増えてきた

これまでしなかったようなミスが目立つ

身だしなみに気を配らなくなった

周囲との雑談を避けるようになった

こうしたサインは、本人が「大丈夫です」と言っていても、内側で不調が進んでいる可能性を示しています。だからこそ、普段から雑談や相談がしやすい雰囲気をつくっておくことが何よりの予防になります。
「何かあった?」と急に切り出すよりも、日頃から「最近どう?」と気軽に声をかけ合える関係性を築いておく。こうした上司による日常的な目配り(ラインケア)は、不調の早期発見・早期対応の土台になります。

社労士からのワンポイント ―― 「気づき」を仕組みで支える

ここまでは現場でできる工夫をお伝えしましたが、個人の頑張りや気づきだけに頼るのには限界があります。社員のメンタルヘルスを守る取り組みは、会社全体の仕組みとして整えておくと、より確実に機能します。
その代表的なものが「ストレスチェック制度」です。働く人が50人以上いる事業場では、年に1回、社員のストレス状態を確認するこの検査の実施が法律で義務づけられています。「最近、職場で不調を感じる人が増えている気がする」という肌感覚を、客観的なデータで把握できる貴重な機会です。実施しているだけで終わらせず、結果を職場改善のヒントとして活かしていただきたいところです。
また、社員の心身の健康に配慮することは、会社が負っている「安全配慮義務」(社員が安全・健康に働けるよう気を配る義務)の一環でもあります。社内に相談しづらい悩みもあるため、産業医や外部の相談窓口(EAPなど)といった「社外の相談先」を用意し、社員に周知しておくことも有効です。「ひとりで抱え込まなくていい」と伝わるだけで、社員の安心感は大きく変わります。

おわりに

6月は、気候や祝日のなさといった外的な要因への対応が難しい時期です。しかしその一方で、評価のフィードバックや日々のコミュニケーションなど、企業側の意識的なケアで防げる部分も大いにあります
新年度から全力で駆け抜けてきた社員たちの心と体は、知らず知らずのうちに疲れをためているかもしれません。この6月、改めて社員一人ひとりの状態に目を向け、休息と対話の機会をつくってみてください。その小さな積み重ねが、社員の定着と、これからのさらなる活躍を支える力になります。
メンタルヘルス対策や評価制度、休暇の取得促進などについてお困りごとがありましたら、どうぞお気軽に弊社までご相談ください。


社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、社会保険労務士として活動中。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、専門家の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。





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