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【アウトソーシングほっとニュース】 「共育(トモイク)プロジェクト」開始から1年、企業の取組から見る「共働き・共育て」

 


はじめに
厚生労働省が「共育(トモイク)プロジェクト」を開始してから約1年が経過しました。
近年は、男性の育児休業取得促進に加え、育児と仕事を両立しやすい職場環境づくりや、多様な働き方への対応など、「共働き・共育て」の実現に向けた取組が進められています。また、企業の両立支援に関する調査や企業ランキングにおいても、制度の有無だけでなく、その活用状況や職場環境が評価されるようになるなど、企業に求められる取組にも変化が見られます。
本記事では、「共育(トモイク)プロジェクト」の概要を整理するとともに、この1年間の動向や企業の取組を踏まえ、「共働き・共育て」を取り巻く現状について解説します。

1.「共育(トモイク)プロジェクト」とは

厚生労働省は、2025年7月4日に「イクメンプロジェクト」の後継事業として「共育(トモイク)プロジェクト」を開始しました。
イクメンプロジェクトが主に男性の育児参加を促進することを目的としていたのに対し、「共育(トモイク)プロジェクト」では、男性だけでなく、夫婦や職場、社会全体で子育てを支える「共働き・共育て」の実現を目指しています。
その背景には、共働き世帯の増加や、育児と仕事を両立しながら働き続けられる環境づくりの重要性が高まっていることがあります。育児を家庭内だけの課題と捉えるのではなく、企業を含めた社会全体で支えていくという考え方へと広がりつつあります。
「共育(トモイク)プロジェクト」は、企業に新たな法的義務を課すものではありません。育児・介護休業法に基づく両立支援制度の活用を後押しするため、企業向けセミナーや企業版両親学級、企業の取組紹介などを通じて、企業の自主的な取組を支援する普及・啓発事業として実施されています。

「共育(トモイク)プロジェクト」の主な取組】

取組

内容

企業版両親学級

従業員とその家族を対象に、仕事と育児の両立について学ぶ機会を提供

企業向けセミナー

人事担当者や管理職向けに「共育て」を推進するためのポイントを紹介

企業の取組紹介

「共働き・共育て」を推進する企業の取組を紹介

情報発信・各種ツール

「共育て」に関する情報や企業向けコンテンツを発信

2.開始から1年で見えてきた変化

「共育(トモイク)プロジェクト」の開始から約1年が経過し、「共働き・共育て」を取り巻く環境には少しずつ変化が見られるようになりました。
もちろん、こうした変化は「共育(トモイク)プロジェクト」だけによるものではありません。育児・介護休業法の改正や社会全体の意識の変化など、さまざまな要因が重なりながら進んできたものです。
その中で、「共育(トモイク)プロジェクト」は企業への情報発信や事例紹介などを通じて、「共働き・共育て」の考え方を広める役割を担っています。

(1)「取得率」から「利用しやすい環境づくり」へ

男性の育児休業については、これまで取得率に注目が集まることが多くありました。
一方、近年は取得率だけではなく、「安心して制度を利用できる職場環境が整っているか」という視点も重視されるようになっています。
例えば、制度が整備されていても、取得期間が極端に短かったり、周囲への配慮から取得をためらったりする状況では、制度本来の目的を十分に果たしているとはいえません。
そのため現在は、制度を導入することに加え、育児休業を取得しやすく、復職後も働き続けやすい職場環境を整えることが重視されるようになっています。

(2)仕事と育児を両立しやすい働き方への広がり

育児と仕事の両立は、育児休業制度だけで実現できるものではありません。
復職後も家庭の状況に応じて働き続けられるよう、短時間勤務制度やフレックスタイム制、テレワーク、時差出勤など、多様な働き方を組み合わせながら支援する企業も増えています。
また、育児・介護休業法の改正により、企業には仕事と育児の両立を支援するための措置が段階的に拡充されています。こうした制度改正への対応とあわせて、従業員が制度を利用しやすい環境づくりを進めることも求められています。

(3)「職場全体で支える」という考え方の広がり

育児と仕事の両立を進めるためには、制度だけでなく、職場全体の理解や協力も欠かせません。
育児休業取得時の業務の引継ぎや復職後の働き方への配慮など、管理職や周囲の従業員が協力しながら支えることが、制度を利用しやすい職場環境につながります。
「共育(トモイク)プロジェクト」でも、「共育て」は家庭だけでなく、職場や社会全体で支えるものとして位置付けられています。
こうした考え方は、企業の両立支援に対する評価にも反映されるようになっています。次章では、企業の具体的な取組を通して、「共働き・共育て」の現在地を見ていきます。

3.企業の取組から見る「共働き・共育て」の現在地

「共育(トモイク)プロジェクト」が掲げる「共働き・共育て」の考え方は、企業の取組や、その評価にも表れるようになっています。
その一例が、日経BP「日経ウーマン」が公表した「2026年版 共働き子育てしやすい企業ランキング」です。
同ランキングでは、男女ともに子育てとキャリア形成を両立しやすい環境が整っていることを重視し、制度の有無だけでなく、その運用状況も含めて評価しています。
例えば、男性の育児休業取得率や取得日数、長時間労働の改善状況、柔軟な働き方を支える制度などが評価項目となっており、「制度を設けていること」だけではなく、「制度が実際に活用されていること」が重視されている点が特徴です。

(1)上位企業から読み取れること

2026年版ランキングでは、東京ガスが第1位となりました。
日経BPによると、東京ガスは男性の育児休業取得率が100%を超え、平均取得日数も約70日となっています。また、月平均残業時間が約14時間と比較的少ないことに加え、週休3日制、短時間勤務制度、サテライトオフィスなど、多様な働き方を支える制度も評価されています。
第2位となった三井化学についても、育児と仕事の両立を支える制度や働きやすい職場環境づくりなどが評価されています。

【2026年版「共働き子育てしやすい企業ランキング」上位企業(抜粋)】

順位

企業名

主な評価内容

1位

東京ガス

男性育児休業取得率100%超、平均取得日数約70日、週休3日制、短時間勤務制度、サテライトオフィスなど

2位

三井化学

育児と仕事の両立を支える制度や働きやすい職場環境づくりを推進

ランキング上位企業の取組を見ると、一つの制度だけを充実させているのではなく、育児休業制度、柔軟な働き方、長時間労働の見直しなどを組み合わせながら、継続的に職場環境を整備していることが分かります。

(2)中小企業でも参考にできる視点

ランキング上位企業には大企業が多く含まれていますが、その考え方は企業規模を問わず参考になります。

例えば、

・育児休業取得時の業務引継ぎ方法をあらかじめ整理する・管理職へ両立支援制度の内容を周知する

・復職前後に面談を実施し、不安や希望を確認する

・短時間勤務制度や時差出勤など、既存制度を利用しやすい運用とする

・制度を利用した従業員の体験談を社内で共有する

といった取組は、中小企業でも比較的取り組みやすい内容と考えられます。
重要なのは、新たな制度を導入することではなく、自社で既に導入している制度が利用しやすい環境となっているかを見直すことです。
企業規模や業種によって取り組める内容は異なりますが、自社の実情に応じてできることから改善を積み重ねていくことが、「共働き・共育て」の実現につながるでしょう。

4.企業が取り組む際のポイント

「共育(トモイク)プロジェクト」や企業の取組から分かるように、「共働き・共育て」を進めるためには、新たな制度を導入することだけが目的ではありません。
まずは、法令に基づく制度が適切に運用され、従業員が安心して利用できる環境となっているかを確認することが重要です。
また、制度の利用状況や職場の実情は企業によって異なります。自社の状況を定期的に確認し、必要に応じて運用方法を見直していくことが、継続的な両立支援につながります。

【チェックリスト 人事担当者が確認しておきたいポイント】

確認項目

チェックポイント

就業規則等の整備

育児・介護休業法の改正内容を反映しているか

制度の周知

従業員へ制度の内容や利用方法を十分に周知しているか

管理職の理解

管理職が制度の趣旨や運用方法を理解しているか

取得・復職時の運用

業務の引継ぎや復職支援の流れを整理しているか

働き方の見直し

短時間勤務制度やテレワークなどを利用しやすい運用となっているか

制度の検証

利用状況や従業員の声を踏まえ、定期的に運用を見直しているか

企業規模や業種によって、取り組める内容は異なります。
そのため、他社と同じ制度を導入することを目的とするのではなく、自社の実情に応じて制度を適切に運用し、利用しやすい職場環境を整えていくことが重要です。
また、育児と仕事の両立支援は、人材の確保や定着、多様な人材が活躍できる職場づくりにもつながります。法令への対応に加え、自社の状況を定期的に確認しながら、継続的に運用を見直していくことが望まれます。

5.さいごに

「共育(トモイク)プロジェクト」の開始から約1年が経過し、「共働き・共育て」を取り巻く環境にはさまざまな変化が見られるようになりました。
こうした変化は、トモイクプロジェクトだけによるものではなく、育児・介護休業法の改正や社会全体の意識の変化、企業による継続的な取組などが重なりながら進んできたものです。一方で、「共育(トモイク)プロジェクト」は、企業への情報提供や事例紹介などを通じて、「共働き・共育て」の考え方を広く発信し、企業の自主的な取組を後押しする役割を担っています。
今回紹介した企業ランキングからも分かるように、近年は育児・介護休業制度などを整備していることに加え、制度が実際に活用され、仕事と育児を両立しやすい職場環境が整えられているかという点にも注目が集まっています。
企業においては、法令に基づく制度を適切に運用するとともに、管理職を含めた職場全体で制度を利用しやすい環境づくりを進めることが重要です。また、新たな制度を導入するだけではなく、既存制度の運用状況を定期的に確認し、自社の実情に応じて改善を重ねていくことも、「共働き・共育て」の推進につながるでしょう。
「共育(トモイク)プロジェクト」では、企業向けセミナーや企業版両親学級、各種資料などが継続的に公開されています。こうした情報も活用しながら、自社における仕事と育児の両立支援について、あらためて見直してみてはいかがでしょうか。

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【参考資料】

厚生労働省「共育(トモイク)プロジェクト」

日経BP「2026年版 共働き子育てしやすい企業ランキング」


この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス                  社会保険労務士 T.Y                          レストランでの接客から人事労務の世界へ転身しました。難しくなりがちな労務の話も身近に感じてもらえるようにお届けしていきます。

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