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【アウトソーシングほっとニュース】AI時代も変わらない「企業が求める人材像」〜帝国データバンクの調査から考える、これからの採用のヒント〜

人事をご担当の皆様、日々の採用活動、いかがでしょうか。AIや生成AIが仕事の現場に広がるなかで、「これからはデジタルに強い人材を採らないといけないのでは」と感じている方も多いかもしれません。
そんななか、帝国データバンクが公表した調査では、少しほっとするような結果が出ています。企業が求める人材像のトップは「コミュニケーション能力が高い」。スキルや技術よりも、人柄や素質を重視する傾向は、4年前の調査からほとんど変わっていないというのです。
この記事では、調査結果を4つのポイントに分けてご紹介しながら、社会保険労務士の立場から、採用の現場で気をつけておきたいことも添えてお伝えします。

本記事のデータについて:本記事の数値やコメントは、株式会社帝国データバンクが2026年10月22日に公表した「企業の採用形態と求める人材像アンケート」に基づいています。調査期間は2026年10月9日〜14日(インターネット調査)、有効回答企業は全国1,333社です。

ポイント①:求める人材像の上位は「人柄」に関わる項目

企業にどのような人材を求めているかを尋ねたところ(3つまでの複数回答)、上位には次の項目が並びました。
・1位「コミュニケーション能力が高い」:30.6%
・2位「真面目、または誠実な人柄である」:29.2%
・3位「意欲的である」:28.4%
一方で、「専門的なスキルを持っている」や「AIやデジタル技術を活用できる」は、低い順位にとどまりました。周囲と協力して働くうえで大切な要素が、上位を占めた形です。
帝国データバンクが2022年9月に行った同様の調査でも、「コミュニケーション能力が高い」がトップでした。AIなどのデジタル技術が普及した今でも、企業が求める人材像は大きく変わっていない、と調査は分析しています。その背景として、スキルや技術は入社後に身につけられると考える企業が多いことがうかがえます。企業からは、こんな声も寄せられています。

「長く働いて仕事を覚えてくれるように、積極性とコミュニケーションスキルを特に重視している。資格や知識、経験は入社後に身につけることが可能だが、資質を変えることはなかなか難しい」(中途採用がメイン、神奈川県)
「学校で学んだ知識では戦力にならない。それよりも好奇心旺盛で、成長志向の強い人材の方が期待できる」(機械製造)

ポイント②:8割超の企業が「中途採用がメイン」

主な採用形態を尋ねた設問では、「中途採用がメイン」が81.1%、「新卒採用がメイン」が18.9%でした。企業規模別に見ると、その違いがよく分かります。

企業規模

新卒採用がメイン

中途採用がメイン

全 体

18.9%

81.1%

大企業

55.2%

44.8%

中小企業

13.6%

86.4%

小規模企業

5.6%

94.4%

注:母数は有効回答企業1,134社(無回答を除く)

大企業では新卒採用が半数を超える一方、中小企業では8割超、小規模企業では9割超が中途採用を中心にしています。規模が小さくなるほど、新卒採用の難しさや、即戦力の確保、欠員補充のしやすさ、教育コストの削減といった観点から、中途人材を求めている様子がうかがえます。

「知識やスキルは、入社後に身に付けてもらえれば良いので、それを受け入れる土壌がある人がほしい。ビジネスマナー等の教育コストは最小化したいため、中途採用が基本」(広告関連)

ポイント③:新卒は「素直さ」、中途は「行動力」と「責任感」

求める人材像を、「新卒採用がメイン」の企業と「中途採用がメイン」の企業で比べると、違いが表れた項目がありました。下の表で色をつけた部分が、差の大きかったところです。

求める人材像(3つまでの複数回答)

全体

新卒採用メイン

中途採用メイン

コミュニケーション能力が高い

30.6%

32.2%

30.4%

真面目、または誠実な人柄である

29.2%

26.6%

30.4%

意欲的である

28.4%

26.6%

29.5%

責任感がある

26.6%

21.5%

28.4%

素直である

24.6%

31.8%

23.6%

前向きな考え方ができる

23.5%

24.8%

23.6%

行動力がある

19.9%

12.6%

20.2%

主体性がある

14.9%

15.9%

15.3%

明るい性格である

13.3%

16.4%

12.2%

チームで成果を生み出せる

10.7%

13.6%

10.1%

注:母数は有効回答企業1,333社。色付きの数値は、新卒採用メインと中途採用メインの差が大きかった項目

新卒採用では「素直である」が31.8%と、中途採用メイン(23.6%)を大きく上回りました。ここでいう素直さは、単に大人しいということではなく、周囲の助言を受け入れて、新しい知識や仕事の進め方を吸収できるかどうか。つまり、成長の可能性を見るための目安の一つになっていると考えられます
一方、中途採用では「行動力がある」(20.2%)と「責任感がある」(28.4%)が、新卒採用メイン(12.6%、21.5%)を上回りました。即戦力として業務をこなすだけでなく、会社の成長を担ってくれる人材を求めている様子がうかがえます。

ポイント④:中小企業で目立つ「責任感」

企業規模別に見ると、大企業と中小企業で最も差が開いたのは「責任感がある」でした。中小企業では27.4%と、大企業を大きく上回っています。
限られた人数で仕事を回す中小企業では、一人ひとりが任された役割をやり遂げることが、そのまま会社の力になります。個人の突出したスキルよりも、周りと協力しながら責任を持って働いてくれる人を大切にしたい、という思いが表れているのでしょう。

「中小企業の場合、個人によるスキルでは限界があり、チームによる総合力が不可欠。そのためにも真面目で誠実な人材でないと長く続かないと考える」(その他サービス、広島県)

社労士の視点から:「人柄重視」の採用で気をつけたいこと

人柄や素質を重視する採用は、とても理にかなった考え方です。ただ、実際に進めるうえでは、いくつか押さえておきたい点があります。

評価の物差しを、あらかじめ言葉にしておく

「誠実さ」や「コミュニケーション能力」は、面接官によって受け止め方が分かれやすい項目です。「当社でいう誠実さとは、どんな行動に表れるか」を事前に言葉にして、面接官どうしで共有しておくと、評価のばらつきを抑えられます。可能であれば、複数の面接官で評価する形にしておくと安心です。

人柄を知るための質問にも、聞いてはいけないことがあります

人となりを知りたいあまり、家族のことや出身地、思想・信条などに踏み込んだ質問をしてしまうと、就職差別につながるおそれがあります。厚生労働省も「公正な採用選考」として、応募者の適性や能力に関係のない事柄で判断しないよう求めています。
「これまでの仕事で、周りと協力して乗り越えた場面は?」といった、経験を通じて人柄が見える質問に置き換えてみてください。

「入社後に身につけてもらう」なら、育てる仕組みもセットで

スキルは入社後に、と考えるのであれば、その分、受け入れ側の育成体制が大切になります。中途採用の方であっても、最初の数か月は仕事の進め方や社内のルールを丁寧に伝える場を設けておくと、早期の定着につながります。

試用期間は「お試し」ではありません

「思っていた人柄と違った」という理由だけで、試用期間後に本採用を見送ることは、簡単には認められません。試用期間中であっても、本採用を拒否するには、客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が求められます。だからこそ、採用段階での見極めと、入社後の指導の記録が大切になります。

さいごに

今回の調査からは、AIやデジタル技術が広がっても、企業が一緒に働く仲間に求めるものは、周りと協力し、誠実に、意欲を持って仕事に向き合う姿勢なのだということが、あらためて見えてきました。
調査では、技術や経験のある従業員の高齢化・退職が進み、人材の取り合いが今後さらに激しくなるとも指摘されています。自社が大切にしたい人柄とは何かを言葉にし、それをきちんと見極め、入社後に育てていく。その積み重ねが、これからの採用の土台になっていくはずです。採用方針を見直す際の参考にしていただければ幸いです。

【出所】株式会社帝国データバンク「企業の採用形態と求める人材像アンケート」(2026年10月22日公表)


社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、社会保険労務士として活動中。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、専門家の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。





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