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【アウトソーシングほっとニュース】新任人事担当者のための「同一労働同一賃金」入門ガイド 〜2026年の改定、何が変わる?何をすればいい?〜

人事部門へようこそ!配属されたばかりで、覚えることが山積みの時期かと思います。そのなかでも「同一労働同一賃金」は、必ずおさえておきたいテーマのひとつです。
「名前は聞いたことあるけど、正直よくわかっていない……」という方も、ご安心ください。
この記事では、基本のキから2026年の最新動向まで、できるだけやさしく説明していきます。

1. まず「同一労働同一賃金」って何?

一言でいうと、「同じ職場で同じ仕事をしているなら、雇用形態にかかわらず、待遇の差をなくしましょう」 というルールです。

正社員だけでなく、パートタイマーや契約社員・派遣社員など、さまざまな働き方をしている方が同じ職場にいるのは、今や当たり前の光景です。その中で「正社員だから手当が出るけど、パートだから出ない」といった差が"合理的な理由なく"ある状態を、法律は問題だと言っています。

このルールは2018年に法整備され、大企業では2020年から、中小企業では2021年から施行されています。施行から5年が経過した2026年10月1日を目途に、さらに実効性を高めるための見直しが予定されています。


2. 2026年に何が変わる? ── 3つの枠組みが動く

「法律そのものが変わる」と聞くと身構えてしまいますが、今回は法律の条文を変えるわけではありません。代わりに、以下の3つがセットで改定されます。

① 新「短時間・有期雇用労働者対策基本方針」──「国の大方針」

「今後5年間、国として何に取り組むか」を示した大きな方向性です。格差の解消、労働者が納得して働ける環境づくり、非正規から正社員への転換推進などが、国の重点課題として位置づけられています。

② 改正「パート・有期労働法施行規則」──「ルールの具体化」

大方針を実現するための具体的なルールです。たとえば、採用時に渡す書面への新しい記載事項の追加など、現場のやり方に直接影響してくる内容が含まれます。

③ 改正「同一労働同一賃金ガイドライン」──「現場の判断マニュアル」

「退職金や家族手当の差は認められるの?」といった、具体的な待遇差の判断基準を示したマニュアルです。最近の裁判例を受けて、新しい考え方が追記されます。 

まとめるとこういうこと

国が「格差をなくす」という目標を掲げ(基本方針)、そのための「説明の仕方」(施行規則)と「判断のものさし」(ガイドライン)を一緒に整備して、企業に徹底させる──という構造です。

3. 「不合理な差」かどうかは、どう判断するの?

待遇の差が「問題あり」かどうかは、次の3つの要素を見て判断します。

要素具体的には?
職務の内容仕事の中身+責任の重さ
人材活用の仕組み転勤・異動の有無など、今後どう活躍してもらうか
その他の事情労使交渉の経緯、慣行など


この3要素をもとに、法律では2つの原則が定められています。

均等待遇(差別的取扱いの禁止)

①と②が正社員とまったく同じなら、正社員より不利な扱いはNG。同じ扱いが求められます。

均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)

①〜③に違いがある場合でも、その違いに見合ったバランスのとれた待遇にしなければなりません。「違いがあるから何でも差をつけていい」わけではありません。

4. 新任担当者が知っておくべき「2026年改定」の5つのポイント

① 「正社員だから」という説明だけでは通用しない

「正社員は会社の将来を担う人材だから」「役割期待が違うから」──そんな説明だけでは、格差の合理的な理由にならなくなっています。

手当ごとに「この手当は何のためにあるか?」という目的を明確にしたうえで、その目的に照らして客観的な差がある場合に限り、格差が認められます。感覚や慣習ではなく、根拠が必要です。

② 「説明を求める権利」を周知しなければならない

非正規の労働者には、「正社員との待遇の差について、会社に説明を求める権利」があります。ただ、実際に説明を受けた人はわずか約5%にとどまっているのが現状です。

2026年改定では、採用時に渡す書面(労働条件通知書)に「説明を求めることができる」旨を明記することが義務化されます。「言われなかった」では通らなくなるので、書類の整備が必要です。

③ 各手当の「目的」を見直す

ガイドラインには、最近の裁判例を踏まえて、手当ごとの考え方が追記されました。

賞与・退職金:「働いた対価の後払い」や「長年の貢献への報償」という性質がある場合、同様の貢献をしている非正規の方にも、釣り合いのとれた支給が必要です。

家族手当・病気休職・夏期冬期休暇:「継続的に働いてもらうため」や「心身の回復のため」という目的があるなら、同じ状況にある非正規の方にも認めないと不合理とみなされる可能性があります。 

④ 「ただ無期」に注意

有期契約から「無期雇用(いわゆる無期転換)」に切り替えたとき、契約期間だけ無期になって、その他の待遇は一切変わらない──これをいわゆる「ただ無期」と呼びます。

「法律上の有期雇用ではなくなった」としても、不合理な待遇差のリスクはなくなりません。無期転換のタイミングで待遇を整理することが、リスク回避につながります。

⑤ 取り組みを「公表」する時代になってきた

待遇改善の内容や、正社員転換の制度、教育訓練の機会などを、自社のウェブサイトで積極的に発信することが推奨されています。「法律を守っているだけ」ではなく、「うちはこんな取り組みをしています」と見せることが、採用・投資家評価の面でも重要になってきています。

5. 実際に何をすれば? 3つのステップ

難しく考えすぎず、まずはこの流れで動いてみましょう。

STEP 1:現状を「見える化」する

自社にどんな雇用形態の方がいるか(正社員・限定正社員・契約社員・パートなど)を整理します。そのうえで、雇用形態ごとに「基本給・賞与・各手当・福利厚生」の支給の有無と金額を一覧表にまとめます。まずは「差がどこにあるか」を把握することが第一歩です。

STEP 2:差の「理由」を言語化する

一覧表を見ながら、「この差はなぜあるのか?」を一項目ずつ言語化します。「職務内容の違いから来る差か」「責任の範囲の差か」「転勤・異動の有無か」──ガイドラインに照らしてみて、合理的に説明できるかどうかを検討します。

STEP 3:制度を整え、「説明できる状態」をつくる 

合理的な説明ができない差については、手当の整理や就業規則の改定などで対応します(なお、正社員の待遇を一方的に引き下げる方法は原則NGです)。

また、非正規の方から「なぜ差があるんですか?」と聞かれたときに口頭で説明できるよう、説明用の資料フォーマットをあらかじめ作っておくと安心です。

おわりに


同一労働同一賃金」と聞くと、なんだか難しそうで身構えてしまいますが、本質はシンプルです。「うちの職場で働くすべての人に、公平で納得のいく待遇を提供できているか?」を問い直す機会、ということです。

法律に対応するためだけでなく、一緒に働く仲間が「この会社で頑張ろう」と思える環境をつくるため──そういう前向きな視点で制度を見直してみてください。

わからないことがあれば、ひとりで抱え込まず、ぜひ社会保険労務士や専門家に相談しながら進めることをおすすめします。



社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K


事業会社での人事労務キャリアを活かし、社会保険労務士として活動中。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、専門家の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。




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