【アウトソーシングほっとニュース】 「第3回技能五輪アジア大会」が開催されました。

第3回技能五輪アジア大会で日本選手団が3職種で金メダルを獲得
若手技能者の成長と日本のものづくり力を示す成果に
厚生労働省は、台湾・台北で開催された「第3回技能五輪アジア大会」における日本選手団の成績を公表しました。今回、日本は3つの職種で金メダルを獲得し、さらに銀メダル4個、銅メダル4個、敢闘賞5個の計16個のメダル・賞を受賞するという大きな成果を上げました。世界的にも高い評価を受ける日本の技能者育成の取り組みが、アジア地域でも確かな実力として示された形です。
■ 技能五輪アジア大会とは
技能五輪アジア大会は、アジア域内外の若手技能者が集い、さまざまな職種で技能を競い合う国際大会です。第3回となる今回は、令和7年11月27日(木)~29日(土) の3日間、台湾・台北で開催されました。大会には、アジア域外も含む 28の国・地域から290名の選手が参加し、競技職種は 36職種におよびました。IT技術、ものづくり、デザイン、サービスなど幅広い分野が対象で、世界的に需要が高まる技能から伝統的な技能まで、多彩な競技内容が特徴です。
日本からは 20職種に21名の若手技能者 が参加。日頃の訓練成果を存分に発揮し、以下の誇るべき結果につながりました。
■ 日本選手団の受賞結果
● 金メダル(3職種)
- 情報ネットワーク施工
- CNCフライス盤
- クラウドコンピューティング
いずれも高度な精度や設計力、問題解決力が求められる分野であり、日本の技術力が国際的に評価された結果といえます。
● 銀メダル(4職種)
- CNC旋盤
- 自動車工
- ITネットワークシステム管理
- ロボットシステムインテグレーション
製造業の根幹を支える機械加工分野、急速に成長するIT・ネットワーク分野、さらにロボティクス分野など、日本企業にとっても重要性の高い職種で高い成果が得られました。
● 銅メダル(4職種)
- モバイルアプリケーション開発
- 建具
- レストランサービス
- 3Dデジタルゲームアート
デジタル技術から伝統技能、そしてサービス分野まで、多様な職種で受賞したことは、日本の技能育成の広がりを示しています。
● 敢闘賞(5職種)
- 電子機器組立て
- ウェブデザイン
- 電工
- 洋裁
- グラフィックデザイン
敢闘賞は、「基準点数以上の技能レベルに達しながら惜しくもメダルに届かなかった選手」に与えられる賞であり、今後の成長が大いに期待されます。
■ 若手技能者育成の意義
今回の成績は、単なるメダルの数以上に、日本の若年技能者が世界の舞台で実力を示した意義深い成果です。
特にIT関連の職種(クラウド、ネットワーク、アプリ開発など)やロボットシステムなど、将来の産業構造を支える分野での活躍が目立ち、日本の技術者育成が新しい産業ニーズに応えつつあることが読み取れます。
一方、建具や洋裁などの伝統技能の分野でも評価を得ており、日本社会が蓄積してきた「確かな手仕事」の継承にも光が当たりました。多様な技能が共存する日本の特徴が、国際大会でもしっかりと表れています。
■ 2028年技能五輪国際大会(愛知)に向けた追い風
日本では、2028年に技能五輪国際大会(WorldSkills Competition 2028 Aichi) を開催します。この大会は、世界各国の若手技能者が技能を競い合う世界最大規模の技能競技大会です。今回のアジア大会での成果は、2028年大会を控える日本にとって大きな追い風となります。
- 各職種における日本選手の実力向上
- 若手技能者の育成意欲の高まり
- 企業・自治体・学校による技能育成支援の機運上昇
といった効果が期待され、特にITやロボティクスなどの成長分野を中心に、さらなる強化が予想されます。厚生労働省は、各種技能競技大会の実施や教育機関・企業との連携を通じ、若年技能者の裾野を広げる取り組みを継続するとしています。技能に対する社会的評価を高め、技能を「価値あるキャリア」として定着させることが大きな目標です。
■ 今後求められる企業・社会の役割
技能競技大会での成果は、選手個人だけでなく、日本全体の人材育成の質を高める重要な意味を持ちます。技能はすぐに形になりにくいからこそ、育成に時間と投資が欠かせません。大会で活躍した若者が企業で成長し続けられる環境づくりは、今後の日本の競争力維持にも直結します。また技能競技で活躍する若手技能者の育成には、企業内の教育体制や労務管理が密接に関係します。例えば
- 技能評価制度やキャリアパスの構築
- 労働時間・安全衛生管理などのコンプライアンス体制整備
- 若手技能者の定着率向上のための職場環境づくり
- 女性や外国人技能者が活躍しやすい制度の整備
など、専門家による企業への技能人材育成に関する幅広い支援が必要となります。
2028年技能五輪国際大会の日本開催を控え、企業が将来の技能人材を育てる上でも、専門家による適切な助言・伴走支援の重要性はますます高まっています。
■ まとめ
第3回技能五輪アジア大会での日本選手団の活躍は、若手技能者のレベルの高さを国際的に示すものとなりました。金メダル3個を含む計16のメダル・賞の獲得は、日本のものづくり力・サービス力・IT技術力の総合的な力を象徴しています。2028年には、いよいよ日本・愛知で技能五輪国際大会が開催されます。今回の成果を弾みに、次世代の技能者育成をさらに進め、技能が社会からより価値あるものとして評価される環境づくりが求められます。
大会の詳細は、WorldSkills Aichi 2028 の公式サイトをご確認ください。
この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス 社会保険労務士 T.Y レストランでの接客から人事労務の世界へ転身しました。難しくなりがちな労務の話も身近に感じてもらえるようにお届けしていきます。