【アウトソーシングほっとニュース】65歳以上の人口と就業の現状について
10月は「高年齢者就業支援月間」です。高齢者の就業環境を整備していくことが不可欠といわれていますが、その重要性を再認識させられる調査結果が発表されました。
調査は、総務省が「敬老の日」に合わせて実施し、統計からみた我が国の高齢者のすがたについてまとめたものです。
主なポイント
1 高齢者の人口
- 65歳以上人口は3619万人と前年に比べ5万人の減少、総人口に占める割合は29.4%と過去最高
- 日本の65歳以上人口の割合は、世界で最高(人口4000万人以上の38か国中)
2 高齢者の就業
- 65歳以上の就業者数は、21年連続で増加し930万人と過去最多
- 就業者総数に占める65歳以上の就業者の割合は、13.7%と過去最高
- 65歳以上の年齢別就業率は、いずれも過去最高に
- 65歳以上の役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は76.9%
- 「医療,福祉」の65歳以上の就業者は10年前の約2.3倍に増加
高齢者の人口について
我が国の65歳以上人口(2025年9月15日現在推計)は、3619万人と、前年(3624万人)に比べ5万人の減少となりました。一方、総人口に占める割合は29.4%と、前年(29.3%)に比べ0.1ポイント上昇し、過去最高となりました。総人口に占める65歳以上人口の割合の推移をみると、1950年(4.9%)以降一貫して上昇 が続いており、1985年に10%、2005年に20%を超え、2025年は29.4%と過去最高を更新しています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この割合は今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には34.8%、2050年には37.1%になると見込まれています。(図1)
人口4000万以上の38か国について、2025年の総人口に占める65歳以上人口の割合を比較すると、 日本(29.4%)が最も高く、次いでイタリア(25.1%)、ドイツ(23.7%)、フランス(22.5%)となっています。(表1)
表1 65歳以上人口の割合(上位10カ国)2025年
主要国における2025年の65~74歳及び75歳以上人口の割合を比較すると、いずれも日本が最も高くなっています。(図2)
主要国における65歳以上人口の割合の推移をみると、各国とも上昇傾向となっています。(図3)
高齢者の就業について
2024年の65歳以上の就業者数(※1)は、2004年以降、21年連続で前年に比べ増加し、930万人と過去最多となっています。(図4) ※1就業者とは、月末1週間に収入を伴う仕事を1時間以上した者、又は月末1週間に仕事を休んでいた者
また2024年の15歳以上の就業者総数に占める65歳以上の就業者の割合は13.7%と、前年に比べ0.2ポイント上昇し、過去最高となっています。就業者のおよそ7人に1人が65歳以上となっています。(図5)
2024年の65歳以上の就業率(※2)は25.7%となり、前年に比べ0.5ポイント上昇しました。 年齢階級別(※3)にみると、65~69歳は53.6%、70~74歳は35.1%、75歳以上は12.0%と、いずれも過去最高となっています。(図6) ※2 65歳以上の就業率は、65歳以上人口に占める65歳以上の就業者の割合 ※3 年齢階級別就業率は、各年齢階級の人口に占める就業者の割合
2024年の65歳以上の就業者を従業上の地位別にみると、役員を除く雇用者が563万人で65歳以上の就業者の61.3%、自営業主・家族従業者が248万人で同27.0%、会社などの役員が108万人で同 11.8%となっています。さらに65歳以上の就業者のうち役員を除く雇用者を雇用形態別にみると、 正規の職員・従業員が130万人で23.1%、非正規の職員・従業員が433万人で76.9%を占めており、 うちパート・アルバイトが298万人で52.9%となっています。(図7)
図7 65歳以上の従業上の地位別就業者及び雇用形態別役員を除く雇用者の内訳(2024年)
65歳以上の就業者を主な産業別にみると、「卸売業,小売業」が133万人と最も多く、次いで「医療,福祉」が115万人(※4)、「サービス業(他に分類されないもの)」が104万人(※5)、「農業,林業」が93万人などとなっています。産業別に65歳以上の就業者を10年前と比較すると、「医療,福祉」が64万人増加し、10年前の約2.3 倍となりました。次いで「サービス業(他に分類されないもの)」(32万人増)、「卸売業,小売業」(26万人増)、「建設業」(21万人増)などが増加幅の大きい産業です。ほとんどの主な産業で65歳以上の就業者が増加しています。 ※4 うち「社会保険・社会福祉・介護事業」が75万人、「医療業」が38万人 ※5 うち「その他の事業サービス業」(建物サービス業、警備業など)が74万人
出典:総務省統計局
統計局ホームページ/令和7年/統計トピックスNo.146 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-
この記事を書いたのは・・・
社会保険労務士法人エスネットワークス 社会保険労務士 T.Y レストランでの接客から人事労務の世界へ転身しました。難しくなりがちな労務の話も身近に感じてもらえるようにお届けしていきます。