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【アウトソーシングほっとニュース】「改正公益通報者保護法」が可決、成立





1月24日に召集された第217回国会(会期は6月22日 までの150日間)では、今後の人事労務の実務に大きな影響を与える3つの改正法が可決、成立しました。
①労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律
②労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律
③公益通報者保護法の一部を改正する法律

主な改正内容は以下の通りです。主な改正内容





5月27日、6月17日のほっとニュースに続き、今日の記事では「公益通報者保護法の一部を改正する法律」を取り上げます。

公益通報者保護法とは

 国民生活の安心・安全を損なうような企業不祥事は、事業者内部の労働者からの通報をきっかけに明らかになることも少なくありません。こうした企業不祥事による国民への被害拡大を防止するために通報する行為を正当な行為として、事業者による解雇等の不利益な取扱いから保護する目的で、「公益通報者保護法」が制定されています。

改正の概要

 改正法では、内部通報者に報復として「解雇」や「懲戒処分」を行った場合、事業主側に対する刑事罰を導入したのが柱で、報復を抑止し、通報への適切な対応を進めることが狙いです。報復目的の「解雇」や「懲戒処分」に関与した関係者に6月以下の拘禁刑か罰金30万円、また法人には3千万円以下の罰金が科されます。
 また、民事で争いになる場合には、通報者側の負担を軽減し、公益通報後1年以内に「解雇」や「懲戒処分」を受けた場合、通報への報復を受けたと推定します。事業主側が「通報が理由ではない」と主張する場合は、事業主がその立証責任を負うことになります。
 加えて、内部通報の受け付け体制も強化され、事業主が窓口の担当者を配置せず、行政の命令に従わない場合に30万円以下の罰金を科されます。

公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上

 現行法(2022年改正・2022年6月施行)は、常時使用する従業員数が300人超の事業者に対し、公益通報対応業務に従事する者の指定内部公益通報対応体制および公益通報者保護体制の整備等を義務づけています。改正法では、当該指定義務に違反する事業者への監督指導を強化するとともに、命令違反時の罰則規定を整備しました。
 具体的には、
●従事者指定義務に違反する事業者(常時使用する従業員数が300人超に限る)に対し、現行法の指導・助言、勧告権限に加え、勧告に従わない場合の命令権および命令違反時の刑事罰が新設されます。
●上記事業者に対し、現行法の報告徴収権限に加え、立入検査権限を設けるとともに、報告懈怠・虚偽報告、検査拒否に対する刑事罰が新設されます。

公益通報者の範囲拡大

 現行法では、保護対象が、労働者(派遣労働者を含む)退職後1年以内の者役員とされていますが、改正により、新たに「事業者と業務委託関係にあるフリーランス及び業務委託関係が終了して1年以内のフリーランス」が追加されます。また、事業者が公益通報を理由として、当該フリーランスとの業務委託契約の解除その他不利益な取り扱いをすることが禁止されます。

公益通報を阻害する要因への対処

 事業者が、労働者等に対し、正当な理由なく公益通報をしない旨の合意を求めること等によって公益通報を妨げることを禁止し、これに違反してなされた合意等の法律行為を無効とします。また、事業者が正当な理由なく、公益通報者を特定することを目的とする行為を禁止します。

公益通報を理由とする不利益な取り扱いの抑止・救済の強化

 公益通報を理由として解雇又は懲戒をした者に対し、直罰(6ヶ月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金、両罰)を新設し、法人に対する法定刑を3,000万円以下の罰金とします。また、「通報後1年以内の解雇又は懲戒は公益通報を理由としてされたものと推定」する規定を新設し、民事訴訟上の有効性に係る立証責任が使用者側に転換されます。


この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員


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