【アウトソーシングほっとニュース】「改正労働施策総合推進法」等が可決、成立
1月24日に召集された第217回国会(会期は6月22日 までの150日間)では、今後の人事労務の実務に大きな影響を与える3つの改正法が可決、成立しました。
①労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律
②労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律
③公益通報者保護法の一部を改正する法律
主な改正内容は以下の通りです。
「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」については、5月27日のほっとニュースでご紹介しましたので、今日の記事では「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律」を取り上げます。
改正の概要
カスタマーハラスメント(カスハラ)および求職者等に対するセクシャルハラスメント(就活セクハラ)について、雇用管理上の防止措置を事業主の義務とします(公布日から1年6ヶ月以内)。
また、女性が活躍できる就業環境を整えるために「女性活躍推進法」(時限立法)を10年間延長し、男女間賃金格差および女性管理職比率の情報公表義務を常時雇用労働者数101人以上300人以下の企業にも義務づけます(2026年4月1日施行予定)。
加えて、職場における治療と就業の両立を促進するための措置を講ずる努力義務を事業主に課し、病気を抱えながら働く人の就業環境の整備を図ります(2026年4月1日施行予定)。
ハラスメント対策の強化(労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法)
●カスタマーハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務づけ、国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者および顧客等の責務を明確化する。
●求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務づけ、国が指針を示すとともに、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに起因する問題に関する国、事業主および労働者の責務を明確化する。
●職場におけるハラスメントをおこなってはならないことについて国民の規範意識を醸成するために、啓発活動をおこなう国の責務を定める。
女性活躍の推進(女性活躍推進法)
●女性活躍推進法の有効期限を10年間延長し、令和18年3月31日までとする。
●男女間賃金差異および女性管理職比率の情報公開を、常時雇用労働者数が101人以上の一般事業主および特定事業主に義務づける。
●女性の職業生活における活躍の推進にあたっては、女性の健康上の特性に配慮しておこなわれるべき旨を、基本原則において明確化する。
●政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策を位置づける。
●プラチナえるぼしの認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることを追加する。
●特定事業主行動計画に係る手続きの効率化を図る。
治療と仕事の両立支援の推進(労働施策総合推進法)
事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。
この記事を書いたのは・・・
社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K
事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員