• トップ
  • お知らせ
  • 【アウトソーシングほっとニュース】4月から始まる「子ども・子育て支援金」制度をわかりやすく解説

【アウトソーシングほっとニュース】4月から始まる「子ども・子育て支援金」制度をわかりやすく解説





令和8年4月より、新たに「子ども・子育て支援金制度」が施行されます。本記事では、この新制度導入にあたり、企業の人事・労務担当者の皆様にとって実務上必要となる対応をわかりやく解説していきます。制度の概要理解から、給与計算の具体的な手順、従業員への効果的な説明方法までを段階的にまとめていますので、円滑に制度対応を進めるための一助となれば幸いです。
新制度への対応は、単なる給与計算の追加作業ではありません。従業員の生活に直結する金銭的な問題であり、対応の正確性と透明性が、企業の労務管理体制そのものへの信頼性を左右する試金石にもなります。


まずは制度の全体像と、企業に課される法的な義務について正確に理解することから始めましょう。

「子ども・子育て支援金制度」の概要と企業の義務

 最初に、企業の人事担当者が把握すべき「子ども・子育て支援金制度」の基本的な仕組みと、法的に求められる企業の役割について解説します。制度の本質を理解することは、従業員からの質問に的確に答え、社内での混乱を未然に防ぐための第一歩です。
●制度の目的と位置づけ
 本制度は、「全世代で子ども・子育てを支える」という社会全体の課題解決を目的としています。その財源として、全世代・全企業から医療保険料とあわせて「子ども・子育て支援金」を徴収するものです。
 集められた支援金の使い道は法律で厳格に定められており、「児童手当」の拡充「こども誰でも通園制度」の創設など、定められた6つの項目以外には使うことができない仕組みになっています。これらの財源は国の「子ども・子育て支援特別会計」で一般会計とは別に管理され、収入と支出が「見える化」されます。この「見える化」の仕組みは、従業員へ「これは目的が限定された社会保険料であり、使途不明な税金ではない」と説明する際の強力な論拠となります。
●企業の法的義務
 被用者保険(健康保険組合、協会けんぽ等)に加入している従業員の支援金について、企業は以下の義務を負います。
① 支援金額の半分を負担する義務:従業員が負担する支援金と同額を、事業主として負担する必要があります。
② 給与から天引きし、国に納付する義務:健康保険料や厚生年金保険料と同様に、毎月の給与および賞与から従業員負担分を控除(天引き)し、会社負担分とあわせて国に納付しなければなりません。
 

制度の概要と企業の義務を理解した上で、次に給与計算における具体的な実務手順を見ていきましょう。

支援金徴収の実務プロセス

 次に、給与計算担当者の皆様が明日からでも準備に着手できるよう、支援金の具体的な計算方法から徴収開始のタイミング、注意すべき点までを手順を追って解説します。正確な給与計算は企業の信頼性の根幹であり、新制度への対応も例外ではありません。特に、社会保険料の免除対象者や賞与からの徴収漏れは、後々の追徴や従業員とのトラブルに発展しかねないため、初期設定の正確性が極めて重要です。
●支援金額の具体的な計算方法
 被用者保険に加入する従業員一人ひとりの支援金額は、以下の計算式で算出されます。令和8年度の支援金率は「0.23%」と定められています。
• 計算式: 標準報酬月額 × 支援金率(0.23%)
• 本人負担額: 上記で計算した金額の半分(標準報酬月額 × 0.23% × 1/2)
• 会社負担額: 上記で計算した金額の半分
※計算の基礎となる「標準報酬月額」は、毎月の給与と賞与を合算した「標準報酬総額」を基に決定されます。このため、賞与からも同様に徴収される点にご留意ください。
●徴収開始時期と給与明細の準備
 制度開始に伴う給与計算の実務スケジュールは以下の通りです。給与計算システムの更新や、給与明細への新たな控除項目の追加準備を計画的に進める必要があります。
• 対象となる保険料: 令和8年4月分から
• 給与からの初回天引き: 令和8年5月支払分の給与から
●実務上の注意点:免除対象者の取扱い 
 重要なルールとして、産前産後休業・育児休業期間中の従業員については、健康保険料や厚生年金保険料と同様に、この支援金も支払いが免除されます。休業者の社会保険料免除手続きを行う際に、支援金も同様の扱いとなることをシステム上、また実務フロー上で確認してください。

給与計算の準備が整ったら、次はその内容を従業員に正確に伝え、理解を促すためのコミュニケーションが重要になります。

従業員への説明とコミュニケーションプラン

 ここでは、新制度導入に伴う従業員の不安や疑問を解消し、円滑な社内合意形成を図るためのコミュニケーション戦略を提案します。丁寧な説明は、従業員の納得感を高め、人事部門への信頼を維持するために極めて重要です。
●伝えるべき必須情報
 従業員へは、社内通知や説明会などを通じて、少なくとも以下の情報を分かりやすく伝えることが推奨されます。
• 制度の開始時期: 令和8年5月支払分の給与から、新たに「子ども・子育て支援金」が控除されること。
• 制度の目的: 少子化という社会全体の課題に対応するため、社会全体で子育てを支える新しい仕組みであること。
• 徴収の根拠: 法律に基づき、医療保険料とあわせて徴収される社会保険料の一種であり、税金とは異なること。
• 本人負担額の目安: 従業員が自身の負担額を具体的にイメージできるよう、政府の試算(被保険者一人当たり)を例として示すことが有効です。









●想定される質問への回答(FAQ)作成ガイド
 従業員から寄せられる可能性が高い質問と、その回答例を以下に示します。社内FAQとして整備し、いつでも参照できるようにしておくことをお勧めします。
• Q1. なぜ給料から新しいお金が引かれるのですか?これは増税ですか?
 A1. これは「子ども・子育て支援金」という新しい制度で、法律に基づいて医療保険料とあわせてお預かりするものです。税金ではなく、使い道も児童手当の拡充など、子育て支援に限定されています。
• Q2. なぜ子育てをしていない私も支払う必要があるのですか?
 A2. この制度は、将来の社会を支えるこどもたちを社会全体で応援するためのものです。こどもたちが健やかに育てば、将来の社会保障制度の担い手となり、その恩恵は社会全体にいきわたります。そのため、お子様の有無にかかわらず、社会の一員として全ての方にご協力をお願いする仕組みとなっています。
• Q3. 育児休業を取得した場合、この支援金は支払う必要がありますか?
 A3. いいえ、産前産後休業・育児休業期間中は、健康保険料や厚生年金保険料などと同様に、この支援金の支払いも免除されますのでご安心ください。

社労士法人としてできること

 このように、制度の導入には専門的な知識が求められる場面が多々あります。そこで最後に、私たち社会保険労務士がどのように貴社をサポートできるかをご紹介します。外部の専門知識を活用することは、法改正に迅速かつ正確に対応し、人事部門の皆様の負担を軽減するための有効な戦略です。
●提供可能なサポート内容
 私たち社会保険労務士は、新制度のスムーズな導入と運用に向けて、以下のような多岐にわたるサポートを提供いたします。
給与計算システムの更新支援: 新たな控除項目設定に関する助言と法改正に準拠した設定内容の確認
従業員向け説明資料の作成: 各企業の状況に合わせた説明会資料や社内通知文(Q&A含む)の作成支援
規程改訂のサポート: 必要に応じた賃金規程等の見直しに関する専門的な助言
労務相談対応: 従業員から寄せられる個別・複雑な質問への専門的かつ適切な回答支援
行政手続きに関する助言: 社会保険に関する届出等、関連する行政手続きについての最新情報の提供とアドバイス

 「子ども・子育て支援金制度」への対応は、一度設定すれば終わりではなく、将来的には支援金率の改定など、継続的な管理が求められる可能性があります。
 私たちは、法改正への一時的な対応に留まらず、貴社の人事・労務戦略のパートナーとして、従業員の皆様が安心して働ける環境づくりを継続的に支援いたします。まずは、本制度導入に向けた貴社独自の課題整理から、ぜひご一緒させてください。


この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員







サービスに関するお悩み、
ご相談やお見積り依頼等のお問い合わせはこちらから

※企業様からのお問い合わせを受け付けております。

電話アイコン

お電話でのお問い合わせ

03-6826-6333

平日9:00 - 17:30

ページトップへ戻る