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【アウトソーシングほっとニュース】はじめて学ぶ「障害者雇用率制度」:企業の義務と仕組みをわかりやすく解説





厚生労働省は12月19日、民間企業や公的機関などにおける2025年の「障害者雇用状況」集計結果を公表しました。
本稿では、企業の社会的責任としても重要性が高まっている「障害者雇用率制度」について、初めてこの言葉に触れる方にもご理解いただけるよう、基本的な考え方と仕組みを平易な言葉で解説します。複雑に思える制度ですが、ポイントを押さえれば誰でも理解できますので、一緒に学んでいきましょう。

1. なぜ「障害者雇用率制度」があるの?

 この制度は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」という法律に基づいており、一定規模以上の企業や公的機関に対して、障害のある方を雇用する義務を課しています。
 制度の最も重要な目的は、障害のある方々がその能力を活かして職業に就き、安定した生活を送れるようにすることです。これにより、障害の有無にかかわらず誰もが社会に参加し、活躍できる共生社会の実現を目指しています。
 それでは、企業に課せられる具体的な義務とはどのようなものなのでしょうか。

2. 制度のキホン:「法定雇用率」とは?

 制度の中心となるのが「法定雇用率」というキーワードです。これは、事業主が全従業員数に対して雇用しなければならない、障害のある方の割合を法律で定めたものです。

■ 誰に義務があるの?(対象となる事業主)

 この雇用義務は、すべての事業主に課せられるわけではありません。一般の民間企業の場合、常時雇用している従業員が40.0人以上の企業が対象となります。

■ 具体的な雇用率は?(組織別の法定雇用率)

 法定雇用率は、組織の種類によって異なります。以下に主な組織の法定雇用率をまとめました。

組織の種類
法定雇用率
一般の民間企業
2.5%
特殊法人等
2.8%
国、地方公共団体
2.8%
都道府県等の教育委員会
2.7%

 では、この2.5%という目標に対し、企業は現在どの程度達成できているのでしょうか?その達成度を測るモノサシを見ていきましょう。

3. 達成状況を測るモノサシ:「実雇用率」

 「法定雇用率」が達成すべき目標であるのに対し、各企業や組織の実際の雇用状況を示すのが「実雇用率」です。この2つの率を比べることで、企業の達成度を測ることができます。
• 実雇用率: 企業や組織が実際に雇用している障害者の割合
• 法定雇用率達成企業: 「実雇用率」が「法定雇用率」を上回っている企業
 令和7年6月1日現在の民間企業の状況を見ると、実雇用率は2.41%、法定雇用率達成企業の割合は46.0%となっています。この数値は、法定雇用率2.5%にわずかに届いておらず、達成企業も半数以下であることから、多くの企業にとって障害者雇用が依然として重要な経営課題であることを示唆しています。
 では、この「実雇用率」を計算する際の障害者数は、どのように数えるのでしょうか。実はそこには特別なルールがあります。

4. 制度の重要ポイント:障害者数のカウント方法

 障害者雇用率制度では、雇用している障害のある方の人数を単純に合計するわけではありません。障害の程度や週の労働時間に応じて、1人の雇用を0.5人分や2人分として計算する特別なカウント方法が用いられます。
 この仕組みは、特に手厚い配慮が必要となる重度の障害のある方の雇用を、企業が積極的に進めることを後押しするために設けられています。

■「ダブルカウント」と「ハーフカウント」の仕組み

 具体的なカウント方法は、以下の表のように定められています。特に、重度障害者を週30時間以上雇用した場合に1人を2人として計算する「ダブルカウント」は、この制度の最も重要な仕組みの一つです。

対象となる障害者
週の所定労働時間
カウント方法
解説
重度身体障害者・重度知的障害者
30時間以上
2.0人
1人の雇用が2人分として計算される(ダブルカウント)
重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者
20時間以上30時間未満
1.0人
特に配慮が必要な重度障害者や精神障害者の方が、比較的短い労働時間(週20時間以上)でも就労しやすいよう、1人分としてカウントする特例です。
上記以外の身体・知的障害者
20時間以上30時間未満
0.5人
1人の雇用が0.5人分として計算される(ハーフカウント)
重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者
10時間以上20時間未満
0.5人
特に短い労働時間(週10時間以上20時間未満)での雇用も制度の対象とし、障害のある方の多様な働き方を支援するための仕組みです。1人の雇用が0.5人分として計算される(ハーフカウント)

 このように、多様な働き方や障害の特性に配慮した計算方法が採用されているのです。

5. まとめ:障害者雇用率制度の3つの要点

 最後に、この資料で学んだ障害者雇用率制度の最も重要なポイントを3つにまとめます。
①雇用の義務: 法律に基づき、従業員40.0人以上の企業には障害者雇用が義務付けられています。これは単なる努力目標ではなく、企業が果たすべき法的・社会的責任です。
②目標としての法定雇用率: 民間企業は2.5%という具体的な数値目標を常に意識し、自社の達成状況を測るための最初の指標としなければなりません。
③戦略的な雇用促進策: 1人を2人と数える「ダブルカウント」のような仕組みは、企業が法定雇用率を達成するための重要な戦略的選択肢です。特に重度障害のある方の雇用を積極的に検討する強い動機付けとなります。

 なお、障害者の法定雇用率は段階的に引き上げられており、令和8年7月以降、民間企業の法定雇用率は2.7%となることにご留意ください。

法定雇用率




この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員







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