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【アウトソーシングほっとニュース】6月はプライド月間(Pride Month)です





プライド月間は、「LGBTQ+」の権利と文化を祝うための特別な期間であり、1969年6月にアメリカ・ニューヨークのストーンウォール事件を契機として始まりました。この事件では、警察による強制捜査に対し、LGBTQ+コミュニティの人々が抵抗し、人権を求める大きな動きへと発展しました。その翌年の1970年6月、初めてのプライドパレードがニューヨークで開催され、これが世界各地でのプライドイベントの先駆けとなりました。
日本でもプライド月間の認知度が高まっており、期間中は各地でLGBTQ+の権利向上や多様性の尊重をテーマにしたパレード、アート展示、トークセッションなど様々なイベントが開催されます。Tokyo Pride 2025では、6月7日、8日に代々木公園でプライドパレードやフェスティバルが行われました。
また、近年、多くの企業が多様性を尊重する取り組みを強化し、プライド月間に関連したキャンペーンや支援活動を展開しています。このように企業も「LGBTQ+フレンドリー」な職場環境の整備を進めており、社会的な変化が見られます。

LGBT、LGBTQ+とは

 LGBTは、次の4つの頭文字をとったもので、性的マイノリティを表す言葉であることは今や多くの人に認識されています。
…Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)
…Gay(ゲイ、男性同性愛者)
…Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)
…Transgender(トランスジェンダー、戸籍の性別と自身のアイデンティティーが一致していない人)   

 他にもたくさんのセクシュアリティ(性のあり方)があり、自分の性のあり方がわからない・決めていない人のQueerQuestioningの頭文字を付けて「LGBTQ」や、多様な性でLGBTQにカテゴライズされない人の+(プラス)を加えて「LGBTQ+」と表現することもあります。  

 日本におけるLGBTの人々は全人口の7.6%といわれており(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」)、左利きやAB型の人の割合とほぼ同じ(14人弱に1人)です。

LGBTQ+フレンドリーとは

 「LGBTQ+フレンドリー」とは、LGBTQ+の人たちに対して温かく開かれた状態であることを意味します。そして、社員や関係者に向けてLGBTQ+に関する施策をおこなうことで、LGBTQ+の人たちが自分らしく生き、活躍することを支援する企業のことを「LGBTQ+フレンドリーな企業」といいます。
 多様性を認め合い、様々な人の活躍を促す「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)」の観点からも、性的マイノリティに対する社会的な関心が高まり、LGBTQ+への基本方針を定める企業や、LGBTQ+の社員が働きやすい職場環境づくりに取り組む企業が増えています。「PRIDE指標」に応募する企業も年々増加しており、LGBTQ+支援に対する企業の関心が高まっていることがうかがえます。

 このように企業がLGBTQ+支援に取り組むメリットとしては、主に次の3つがあげられます。
①企業イメージがアップする
②優秀な人材が集まりやすくなる・確保できる
③生産性が向上する(安心して働ける職場環境が創出され、誰もが尊重されていると感じることで、仕事へのモチベーションが高まり、結果的に生産性の向上にもつながる)

企業の取り組み状況

 しかし、厚生労働省の調査(2020年3月「職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」)によると、LGBTQ+の人たちへの配慮や対応を意図した取り組みをおこなっている企業の割合は、従業員規模別に見ると、1,000人以上の43.1%に対し、99人以下では3.8%であり、企業規模が小さくなるほど対応が進んでいないことがわかりました。この状況は、人材の確保・定着、意欲の向上といった課題を抱える中小企業・小規模企業にとって、決して望ましいとは言えません。

性的マイノリティに対する配慮や対応を意図した取組の実施





  出所:「職場におけるダイバーシティ推進事業報告書」  

 企業による取り組みがなかなか進んでいない理由に、LGBTQ+の人たちが直面する困難は周囲に見えにくく、そのため理解や共感を得られにくいことが考えられます。また、取組みを実施・検討していない企業の多くは、その理由として「社内に性的マイノリティ当事者がいないため」を挙げています。しかし、LGBTQ+の人たちの多くは職場でカミングアウトしておらず、困難を抱えていても声をあげにくいという事情を企業が理解していない可能性があります。
 LGBTQ+対応は企業規模の大小を問わずに取り組む必要があり、職場に性的マイノリティの当事者がいることを前提として、多様な人材が安心して働ける職場を目指すことが重要です

 性的マイノリティに対する配慮や対応の取り組みを実施している企業では、取り組みの目的や期待する効果として、「性的マイノリティ当事者を含めた多様な人材が働きやすい職場にするため」、「社会的責任のため」、「性的マイノリティ当事者が働きやすい職場にするため」、「コンプライアンスへの対応のため」をあげています。企業が性的マイノリティに対する配慮等に取り組む目的




 








出所:「多様な人材が活躍できる職場環境に関する企業の事例集」

 性的マイノリティの当事者が抱えうる困りごとは個人によって様々であると考えられ、望む対応も一様ではありません。従って、企業がおこなう取り組みは多岐にわたりますが、基本的には次のような施策を展開することが有効です。
①方針の策定・周知や推進体制づくり
 企業として、「性的指向や性自認にかかわらず、多様な人材が活躍できる職場環境をつくる」という方針を明確に打ち出すことで、性的マイノリティの当事者を含む従業員が、企業の姿勢を信頼することができます。方針の打ち出し方としては、「多様性を尊重すること」、「差別を行わないこと」などを経営方針や宣言、就業規則などに明記することが考えられます。
②研修の実施
 従業員一人一人が性的指向や性自認について基本的な知識を持つことによる理解増進が重要であり、そのためには研修や周知啓発の取り組みをおこなうことが必要です。
 研修の内容として、SOGIハラ(職場における性的指向および性自認についてのハラスメント)やアウティング(本人の性のあり方を同意なく第三者に暴露してしまうこと)についても取り扱ったり、管理職向けの研修では、部下からの相談対応などマネジメント上の配慮を加えるとさらに効果的です。
 SOGIハラは、セクハラやパワハラのように法律上の定義はありませんが、アウティングとともにパワハラ防止指針に盛り込まれ、基本的にパワハラにあたる行為とされています。
③相談体制の整備
 職場で性的指向や性自認に関する差別や嫌がらせを受けた、アウティングが発生した、配置転換などで配慮を求めたい、休暇や福利厚生制度などで困りごとがあるといった場合には、性的マイノリティの当事者が会社に相談したいという気持ちになります。会社のなかに相談できる窓口が設けられていることで、当事者は安心して働くことができます。
④福利厚生における取組み
 性的マイノリティの当事者が福利厚生制度を利用しにくいということのないように見直しをおこなうことが肝要です。例えば同性パートナーに関わる慶弔見舞金や休暇の付与など、性的マイノリティを念頭においた福利厚生制度の整備を進めることは、性的マイノリティの当事者を含む従業員に対して企業の姿勢を示すことになります。
⑤職場における支援ネットワークづくり
 同じ会社のなかに「性的マイノリティのことを理解し、支援することを表明する」人たち(=アライ、支援者という意味)がいることで、当事者は安心して働くことができます。アライが周囲にいるという職場環境をつくるためには、自発的にアライを表明する従業員を増やしていく取り組みが重要です。


この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員







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