【アウトソーシングほっとニュース】改正労働安全衛生法が成立
改正労働安全衛生法が5月8日、衆院本会議にて賛成多数で可決・成立し、5月14日に公布されました。
少子高齢化が進展し、生産年齢人口の減少が見込まれる中、多様な人材が安全に、かつ、安心して働き続けられる職場環境を整備するため、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、職場のメンタルヘルス対策の強化、化学物質による健康障害防止等の仕組みの整備、機械等による労働災害防止の促進、高年齢労働者の労働災害防止のための取組の強化等の措置を講ずるものです。
なお、施行期日は、その内容に応じて、公布日、2026年1月1日、2026年4月1日、2026年10月1日、2027年1月1日、2027年4月1日、改正法の公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日又は改正法の公布の日から起算して5年を超えない範囲内において政令で定める日とされています。
改正の概要
改正法では、労働災害防止対策に個人事業者等を取り込み、労働者だけでなく、個人事業者等の災害の防止を図ることが期待されています。建設アスベスト訴訟の最高裁判決を受けて、有害な作業や危険箇所等での作業に関して、事業者が個人事業者等に対して講ずべき保護措置を義務化する省令改正がされているところ、さらに踏み込んで、既存の労働災害防止対策に個人事業者等を取り込むものです。
具体的には、個人事業者等が仕事をしていて死亡した場合や4日以上休むけがや病気をした場合、業務を発注した事業者などが労働基準監督署に報告することや、個人事業者等がほかの労働者と同じ場所で危険な作業を行う場合特別教育を受けることなどを、それぞれ義務づけます。
また、仕事の強いストレスなどの精神障害で労災と認められた人が2023年度に883人と過去最多となる中、改正法では、ストレスチェック制度が事業場の規模にかかわらず事業者の義務となり、職場のメンタルヘルス対策を進めます。
そして、働く高齢者の労災が増えていることから、企業に対して身体機能の低下などの特性に配慮した職場環境の改善や作業の管理を企業の努力義務とします。
改正の概要は以下の通りです。
この記事を書いたのは・・・
社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K
事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員