【アウトソーシングほっとニュース】「心の健康づくり計画」策定 全国労働衛生週間で重点周知
明日(10月1日)から10月7日まで、令和7年度「全国労働衛生週間」が実施されます。各企業におかれましては、この期間中、以下のような取り組みを通して「職場の労働衛生の総点検」が行われることでしょう。
●過重労働防止対策:長時間労働の削減、ワークライフバランスの推進
●メンタルヘルス対策:「心の健康づくり計画」の策定、ストレスチェックの実施、産業医との連携強化
●腰痛・転倒予防:高齢者や女性労働者への配慮、作業環境の改善
●化学物質・石綿対策:リスクアセスメントの実施、特別規則の遵守
●受動喫煙防止:喫煙所の整備、教育・啓発活動
●治療と仕事の両立支援:相談窓口の設置、休暇制度の整備
●熱中症対策:暑さ指数の測定、水分補給の促進
●テレワーク環境の整備:作業環境チェックリストの活用
●女性の健康課題への対応:専門研修の実施 など
「心の健康づくり計画」の策定
「心の健康づくり計画」とは、従業員のメンタルヘルスケアを推進するために、基本方針や取り組みなどを策定した計画のことです。令和7年度全国労働衛生週間実施要綱では、重点事項の一つとして、同計画の策定が挙げられています。
「心の健康づくり計画」は、その策定が義務化されているわけではありませんが、労働安全衛生法に基づいて厚生労働省が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」において、策定が推奨されています。
メンタルヘルスケアは、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要であり、また、その推進に当たっては、事業者が労働者の意見を聞きつつ事業場の実態に則した取組みを行うことが必要です。このため衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定することが推奨されているというわけです。
「心の健康づくり計画」に盛り込む事項
心の健康づくり計画に盛り込む事項は、次に掲げるとおりです。
❶事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
❷事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
❸事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
❹メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
❺労働者の健康情報の保護に関すること
❻心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
❼その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること
「心の健康づくり計画」の策定例
上記の内容を含んだ計画を策定し、具体的な取組を実施していきます。事業者には、ストレスチェックの活用や職場環境改善などを通して、メンタルヘルスの「4つのケア」を効果的に促進し、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、休職者の職場復帰の支援等が適切に行われることが求められます。
「心の健康づくり計画」の具体的な事例は、厚生労働省パンフレット「職場における心の健康づくり」のP12~P15に掲載されていますので、参考にされてください。
また、福岡労働局や鹿児島産業保健総合支援センターのホームページでは、Excel形式のひな形が配布されていますので活用するとよいでしょう。
この記事を書いたのは・・・
社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K
事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員