【アウトソーシングほっとニュース】介護離職防止へ助成金増額
中小企業での「介護離職」を食い止めようと、厚生労働省が対策に力を入れています。
介護離職が後を絶たないのは、業務負担が増す同僚への気兼ねなどから介護休業を取得しにくいのが一因とされており、厚生労働省は今年4月から助成金を増額し、代替者の雇用など従業員が安心して休業できる環境の整備を促しています。
総務省の令和4年「就業構造基本調査」によりますと、直近1年間で介護や看護のために離職した人は10万6,000人で、前回の平成29年調査から7,000人増えており、介護離職の問題が改善に向かっていない現状が浮き彫りになっています。
両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)
両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)は、「介護支援プラン」を策定の上、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・復帰に取り組んだ場合や仕事と介護の両立に資する制度を導入し利用者が生じた場合、また、介護休業や短時間勤務を行う労働者の業務を代替する体制の整備を行った場合に受給できる助成金です。なお、支給対象となるのは中小企業のみです 。
このうち「業務代替支援」とは、介護休業取得者および短時間勤務制度利用者について、代替要員の新規雇用(派遣を含む)または業務を代替する労働者への手当支給等を行った場合に受給できます。
従業員が介護休業を取得するのに伴い、代替者の新規雇用や派遣従業員の受け入れをおこなえば、連続5日以上で助成金20万円が支給されますが、今年4月からは、より長い休業取得を後押しするため、連続15日以上なら30万円に増額されています。
また、業務を引き継いだ同僚に手当を支給した場合の助成金は、これまで連続5日以上で5万円でしたが、これも連続15日以上なら10万円に引き上げられました。
さらに、今年4月には介護短時間勤務者の業務代替者に手当を支給した場合の助成金が新設されました。介護による短時間勤務制度を合計15日以上利用した労働者の業務を引き継いだ同僚に手当を支給する場合に対象となり、3万円が支給されます。
支給申請までの流れは以下の通りです。
その他の両立支援等助成金
両立支援等助成金は、仕事と育児・介護等の両立支援に取り組む中小企業の事業主を支援する制度です。この助成金における「中小企業」の範囲は次の通りです。
介護離職防止支援コースの他にも、出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)、育児休業等支援コース、育休中等業務代替支援コース、柔軟な働き方選択制度等支援コース、不妊治療および女性の健康課題対応両立支援コースが用意されています。詳細は、こちらのリーフレットをご覧になってください。優秀な人材を確保・定着させるために、ぜひ両立支援等助成金をご活用いただければと思います。
この記事を書いたのは・・・
社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K
事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員