【アウトソーシングほっとニュース】50人未満の事業場もストレスチェックが義務化へ
現行の法律では従業員50名以上を使用する事業場に対しストレスチェックの実施を義務付けており、50名未満の事業場についてはストレスチェックの実施を努力義務としていましたが、2025年3月14日、政府はストレスチェックを50名未満の事業場でも義務化する改正案を閣議決定しました。国会で改正法が成立すれば、公布から3年以内に施行される予定となります。
今回の義務化の背景
今回の50人未満の事業場に対するストレスチェックの義務化の背景にはメンタルヘルス不調を抱える労働者の増加が挙げられます。精神障害の労災支給決定件数は、883件超(令和5年度)と過去最も多くなっており、「労働安全衛生調査(実態調査)」によれば、メンタルヘルス不調により連続1か月以上休業又は退職した労働者がいる事業場割合は、この3年間、約1割で推移しています。
しかしながら、労働者数50人未満の小規模事業場においては、メンタルヘルス対策に取り組む割合が30~49人の事業場で71.8%、10~29人で56.6%(50人以上の事業場においては91.3%)と低い水準であり、十分な取り組みがされているとは言い難い状況となっています。こうした現状の改善のため、今回の50人未満の事業場でもストレスチェックの義務化が進められることとなりました。
出典:厚生労働省第170回安全衛生分科会資料ストレスチェック制度を含めたメンタルヘルス対策について
いつから義務化されるのか?
法律案では「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされており、具体的な日程は決定されておりません。ストレスチェックの実施にあたっては実施体制の整備、実施方法の選定、制度の周知などが必要です。現在実施していない事業場もこの期間に社内体制を整え、準備を進めておく必要があります。
おわりに
ストレスチェックの導入にあたっては様々な準備が必要となりますが、厚生労働省のホームページでは実施のためのマニュアルやストレスチェックに使用する調査票を公開しています。
また働く人のメンタルケアのメンタルヘルスケアに関するさまざまな情報や相談窓口を提供している、『こころの耳』というメンタルヘルス・ポータルサイトがあります。こちらでは職場のメンタルヘルス対策の取組事例の紹介やメンタルヘルスに関するeラーニングなどがあり大変参考になります。
労働者の健康管理を重視して働きやすい職場づくりを進めることは、企業の成長・人材の定着にもつながりますので、この機会にストレスチェック・メンタルヘルス対策の知識を深めてみてはいかがでしょうか。エスネットワークスではストレスチェックはじめ、様々なお問い合わせに対応しておりますので、ぜひお問い合わせください。
社会保険労務士法人エスネットワークス
社会保険労務士 I.R
金融機関での業務を経て2019年にエスネットワークスに入社。
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