【アウトソーシングほっとニュース】高知県が職員の残業割増率50%に引き上げ、全国初
高知県は9月10日、知事部局職員を対象に時間外勤務手当の割増率を2026年度の1年間、実験的に25%から50%に引き上げる条例案を県議会に提出すると発表しました。1時間当たりの残業代が上がる分、総人件費抑制のため、長時間労働を是正する意識を管理職に持たせるのが狙いです。高知県では全国でも特に少子化が深刻になっており、男性の育休取得促進なども進め、仕事と家庭を両立できる社会づくりにつなげたい考えです。
また、高知県は働き方改革の推進に向けて連携企業と協定を結んでおり、濵田省司知事は「最先端の改革に取り組み、全国をリードしていく」と話しています。
濱田知事のコメント
全国に先行して人口減少が進行する一方で、豊かな自然の下でゆとりある生活スタイルを実現できる本県こそが、新しい働き方の確立に向けて全国の先導役となることに挑戦したいと考え、本年9月10日に株式会社ワーク・ライフバランスと協定を締結し、職員の長時間労働の是正、時間外勤務の縮減に向けて、一種の社会実験ともいうべき新たな取組に踏み出すこととしました。
今回の取組では、多様な人材を確保するための「短時間勤務職員採用枠の新設」や、職員の時間外勤務に対する意識の変化を促すための「時間外勤務手当の割増率の時限的な引き上げ」など、自治体としては全国初となる制度を導入したいと考えています。
そして、働き方改革の新たなモデルとなる取組でしっかりと成果を挙げ、これを県内の市町村や民間企業はもとより、全国に波及させ、人口減少の克服に向けた一つの道筋を示すことが本県に課せられた責務でもあると感じています。
働き方改革の取組
高知県は、働き方改革により仕事と家庭が両立できる社会を実現し、少子化問題の克服に道筋をつけること、さらに価値創造型のクリエイティブな仕事で高収入を上げる新しい経済社会構造に移行することを目指しています。
そして、ありたい姿として、新しい働き方を市町村や民間企業から全国へ波及させ、人口減少先行県の高知が人口減少対策を先導していくことを掲げています。
具体的な取組内容
「男性中心、長時間労働前提の働き方」から「女性など多様な人材が活躍できる柔軟な働き方」へ構造転換するため、令和7年9月10日~令和8年3月31日の期間に以下の6つに取り組むとしています。
1.全管理職員が、具体的な働き方改革のノウハウを身につけられる研修の実施
2.多様な人材を雇用できる職場環境整備・採用支援
3.限られた時間で成果を出すことが、正当に評価される基準への見直し
4.働き方改革コンサルティングができる内部人材の育成
5.知事・副知事・全部局長で構成しスピーディーに意思決定するタスクフォースの実施
6.「男性育休100%宣言」「勤務間インターバル宣言」「女性の再就職応援宣言」「時間外割増率1.5 倍賛同宣言」4つの宣言を通じた社会に向けた発信
この記事を書いたのは・・・
社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K
事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。