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【アウトソーシングほっとニュース】「2025年度 新入社員意識調査」を公表(日本能率協会)


一般社団法人日本能率協会(JMA)さんは8月25日、自社が提供する新入社員向け公開教育セミナーの参加者を対象に、今後のキャリア形成のあり方を探ることを目的に「仕事や働くことに対しどのような意識を持っているか」を調査した結果を公表しました。
この調査からは、安定志向と自己成長志向を両立させたいという新入社員の姿勢や、心理的安全性や職場環境への配慮を重視する傾向が読み取れます。

調査の概要

対象:JMAの公開教育セミナー参加者(新入社員)657人
実施期間:2025年4月1日〜11日
目的:新入社員の仕事観・キャリア意識・職場環境への期待などを把握

調査結果のポイント

■キャリア意識の傾向
①安定志向と専門性志向の共存
・「一つの会社で定年まで勤めたい」「一つの仕事を長く続けて専門性を磨きたい」と考える人が約7割。
・転職・独立よりも「副業・兼業」に関心が高まっている。

「定年まで」という安定志向と「副業」への挑戦意欲の共存は、企業に依存しすぎないためのリスクヘッジ意識の表れと読み取れます。不安定な時代を生き抜くため、まずは一つの会社で専門性を磨きつつ、個人の市場価値を高める武器として副業を捉える、現実的でバランス感覚に優れた新入社員の姿がうかがえます。

②キャリアイメージの明確さ
・自分のキャリアイメージを「描いている」と答えた人は約5割(前年より10ポイント減)。
・キャリアイメージを持つ人の多くが「3〜10年先」を見据えている。

キャリアイメージを描く割合が昨年から減少した背景には、先行きの不透明感から⾧期的な目標設定を避け、まずは目の前の仕事で適性を見極めようという現実的な姿勢があるのではないでしょうか。コロナ禍の混乱期を過ぎ、調査時期にトランプ大統領による関税措置が発表されたことなど世界情勢の不安定化を感じさせる報道も見られるなど、先行きの不透明感から、地に足をつけてキャリアを考えようという「揺り戻し」のフェーズに入った可能性も考えられます。

■働く目的と価値観
・「収入を得ること」が最も高く(86.8%)、次いで「やりがい・充実感」(51.9%)、「能力向上」(38.4%)。
・キャリアを描いている層ほど「能力向上」や「新しいことへの挑戦」を重視する傾向。

キャリアを描いている層ほど「収入」よりも「能力向上」や「チャレンジ」といった内発的動機を重視する傾向がみられます。これは、働くことを通じて自己実現や自身の市場価値向上を目指す、主体的な姿勢の表れではないでしょうか。一方、描いていない層では「親のため」なども高く、働く目的がまだ自分事になっていない、模索段階にある様子がうかがえます。

■強化したい能力・スキル
・「学習能力(他者や経験から学ぶ力)」が最多(43.2%)。
・キャリアを描いている層では「新しい価値を生み出す力」が高く評価されている。

キャリアを描く層が「新しい価値を生み出す力」の強化に意欲的なのは、変化の激しい時代を生き抜くために、既存の業務をこなすだけでなく、自ら付加価値を創造する必要性を感じているからでしょう。受け身の学習ではなく、経験から学び、未来を切り拓く力を身につけたいという、高い成⾧意欲と危機感の表れとみることができます。

■理想の上司・職場環境
・「部下の意見・要望を傾聴する」「仕事の成果に情熱を持つ」「リスクを恐れず挑戦する」などが理想像。
・上司や人事に求めることとして「定期的なフィードバック」「能力開発に応じた研修環境」が挙げられている。

キャリアを描く層ほど「傾聴」や「任せる」上司を求めるのは、彼らが自律的に成⾧したいと考えている証左でしょう。上司を、指示を出すだけの存在ではなく、自分の挑戦を理解し、裁量を与え、対話を通じて成⾧を支援してくれる「伴走者」として期待しているのではないでしょうか。画一的な指導よりも、個々の意欲に応じた関わり方が求められています。
キャリアを描く層が「定期的フォロー」や「研修」を求めるのは、会社を自身の市場価値を高めるための「成⾧プラットフォーム」として捉えているからではないでしょうか。会社から与えられるキャリアではなく、自らキャリアを築くために、会社の制度や機会を能動的に活用しようとする意欲の表れと言え、企業には個々の成⾧を後押しする環境整備が期待されます。

■不安と抵抗感
・「仕事で失敗したくない」意識が強く、人間関係が悪い職場は避けたい傾向。
・曖昧な指示への抵抗感が強く、心理的安全性を重視する姿勢が見られる。

失敗を恐れ「曖昧な指示」に強い抵抗感を示す一方、「相談」に前向きな姿勢は、挑戦するための土台として「心理的安全性」を強く求めていることの表れでしょう。安心して挑戦し、失敗から学ぶための環境を求めています。人間関係の悪化が転職に直結するのも、この安全性が脅かされることを最も危惧しているからではないでしょうか。

■海外勤務への意識
・「海外赴任を受け入れられる」意識は約4割にとどまり、前年より減少。
・「ずっと日本人だけと仕事をしたい」と考える人も約3割強。

海外転勤への抵抗感は、必ずしも内向き志向ではなく、プライベートや生活基盤の安定を重視する価値観の変化が背景にあるのではないでしょうか。オンラインで世界とつながれる今、物理的な転勤の魅力が相対的に低下している可能性もあります。企業には、国内でグローバルな経験を積む機会など、多様な働き方とキャリアパスの提示が求められています。

■AIに対する認識
・約9割が「AIによって仕事の仕方が変わる」と認識。
・AIを使った仕事に前向きな人は約9割、「できれば使いたくない」は約1割。
・利用経験があるAIは「ChatGPT」が最多(約8割)。

新入社員の多くは AI を業務効率化のツールとしてポジティブに捉えています。一方で、学歴による利用経験の差は、今後の情報格差(デジタルデバイド)につながる懸念があります。AIを使いこなすことが当たり前となる中、企業は全社員のITリテラシーを底上げする体系的な教育機会を提供し、スタートラインをそろえる必要性が高まっているのではないでしょうか。


この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員。





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