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【アウトソーシングほっとニュース】「仕事と介護の両立」支援に向けた実務支援ツールを公表(厚生労働省)

厚生労働省は、企業による従業員の「仕事と介護の両立支援」に向けて、企業の役割と対応をまとめた実務的支援ツールを公表しました。従業員の就業継続を両立支援のゴールと位置づけ、改正育児・介護休業法により、2025年4月から事業主の義務となった「雇用環境の整備」「介護直面前の早期の情報提供」「介護申出時の個別周知・意向確認」の3つのステップへの心構えや対応などについてまとめています。
 改正育児・介護休業法への対応を含む仕事と介護を両立しやすい職場環境の整備に向けて、本ツールをご活用ください。

企業が仕事と介護の両立支援に取り組む意義

 介護をしながら仕事をする労働者数は約365万人で、特に40~64歳の労働者の約7.8%(13人に1人)が家族の介護に直面しています。また、家族の介護・看護を理由とする離職者数は年間約10.6万人とされていますが、これは氷山の一角だと思われます。
 企業が介護離職防止に向けて仕事と介護の両立支援に取り組むことは、個人の就業(キャリア)継続だけでなく、持続的な事業・組織運営におけるリスクマネジメントとして、また、企業の人的資本経営やダイバーシティ戦略等の観点からも重要です。

改正育児・介護休業法のポイント

 法改正の趣旨は、介護離職防止のための取り組みを強化することです。両立支援制度の利用が必要な状況にあるにもかかわらず、制度を利用しないまま介護離職に至ることを防止するために、仕事と介護の両立支援制度の周知や雇用環境の整備を行う必要があるとしています。従業員に対して広く情報を届ける企業の取り組みが重要で、以下について三位一体で進めていく必要があります。
①雇用環境整備
 研修などの情報提供等により、介護の課題を企業や上司に伝えやすい職場風土を構築することが重要です。介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、事業主は自社の介護両立支援制度等について、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
(1) 研修の実施
(2) 相談体制の整備(相談窓口設置)
(3) 取得事例の収集・提供
(4) 取得促進に関する方針の周知
②早期(40歳等)の情報提供
 当事者意識を持ちにくい従業員も含めて、介護リスクが高まる年齢で一律に事前の意識啓発を行うものです。事業主は、従業員が仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま介護離職に至ることを防止するため、介護に直面する前の早い段階(40歳等)に介護両立支援制度等に関する情報提供を行わなければなりません。また、早期の情報提供を行う際には介護保険制度についても併せて知らせることが望ましいとされています。
③介護に直面した際の周知・意向確認
 実際に介護に直面した場合の離職防止に向けた最後の砦となる措置です。介護に直面した旨の申出をした従業員に対して、事業主は介護両立支援制度等に関する以下の事項の周知と介護両立支援制度等の利用の取得・意向の確認を、個別に行わなければなりません。なお、情報提供を行うに当たっては、各種制度の趣旨・目的を踏まえることが望ましいとされています。
・介護両立支援制度等(制度の内容)
・介護休業・介護両立支援制度等の申出先
・介護休業給付金に関すること

仕事と介護の両立支援に取り組む際のポイント

 介護はある日、突然に始まります。特に中高年層の従業員にとって親の介護は避けられない現実ですが、いざ直面すると多くの方は何から始めてよいかわからないという不安と混乱に陥ります。また、介護は育児と違って、終わりが見えないという性質があります。
①ゴールは社員の就業(キャリア)継続
 介護保険制度等による介護サービスと自社の両立支援制度を必要に応じて効果的に組み合わせて、仕事と介護を両立できるように支援することが基本です。介護休業等を利用しても、「介護に専念」すると離職につながる可能性が高くなります。
②介護はいつ始まり、いつまで続くか事前にわからない
 介護がいつ始まっても対応できるよう、幅広く事前に情報提供・研修を行っておくが大切です。介護に直面した際には、介護保険制度等による介護サービスや自社の両立支援制度の趣旨を踏まえた利用を促すことが必要です。介護の状況の変化に合わせて利用するサービスや職場の体制を柔軟に調整しましょう。
③介護は相談しにくい、いつ・何を相談すべきかわからない
 従業員が申し出てくれなければ、企業として状況を把握する機会がありません。コミュニケーションの促進、介護は誰しも直面しうるという職場風土をつくっていくことが何よりも重要です。
④両立支援は多様な事情を抱える社員全体の活躍促進の一環 
 社内全体の働き方の見直し等により従業員が支え合える社内体制づくりが大切です。


この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス
特定社会保険労務士M・K

事業会社での人事労務キャリアを活かし、クライアントの労務顧問を務めている。労働法をめぐる人と組織に焦点を当てる「生きた法」の実践をモットーとし、社会保険労務士の立場からセミナーや講演を通して、企業に“予防労務”の重要性を呼び掛けている。日本産業保健法学会会員


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