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【アウトソーシングほっとニュース】外国人労働者の安全教育、「伝わっているか」を確認できていますか

















外国人労働者の労災を防ぐには 母国語での安全教育と「理解度の確認」がカギ

外国人を雇用する会社が全国的に増えるなか、外国人労働者の労働災害(仕事中のけがや病気、死亡事故)が、雇用の増加を上回るペースで増えています。こうした状況を受けて、千葉県の茂原労働基準監督署(労基署。労働者の安全や労働条件が守られているかを監督する国の機関)は、外国人労働者の母国語による安全教育と、教育後に「内容がきちんと伝わったか」を確かめる確認テストの実施を、企業に強く呼びかけています。

これは特定の地域だけの問題ではなく、外国人を雇用するすべての企業に共通する課題です。本記事では、行政が公表した資料をもとに、企業がいま取り組むべきポイントを分かりやすく整理します。

1.なぜ今、外国人労働者の労災防止なのか

近年、外国人労働者の雇用は増加傾向にありますが、その一方で外国人労働者の労働災害は、雇用の増加を上回るペースで増えており、深刻な状況にあります。茂原労基署の管内でも、過去10年間で外国人労働者の労働災害は年々増加傾向にあり、令和7年(2025年)10月には、管内で外国人労働者が亡くなる労働災害が発生しています。

同じく令和7年10月には、管内で外国人労働者が被災する重篤な災害が立て続けに2件発生しました。1件は、製菓工場で機械(スクリューコンベヤー)に巻き込まれて左腕を切断する重傷を負ったもの、もう1件は、自動車整備工場で大型バスの点検中にタイヤと車体の間に頭部を挟まれて死亡したものです。後者では、その作業に関する作業手順書(作業のやり方や注意点を定めた書類)がありませんでした。

▼ ポイント
言葉の壁や、作業のやり方が正しく伝わっていないことが、重大な事故につながりやすいと考えられます。「外国人労働者の安全管理は企業の責務」であることを、あらためて確認することが大切です。
2.自主点検で見えた「教えただけで終わっている」課題

茂原労基署は今年(2026年)1〜2月にかけて、外国人を雇用する管内の製造業を対象に、緊急の自主点検(会社が自社の状況を自分でチェックする取組み)を実施しました。リスクアセスメント(職場にひそむ危険をあらかじめ洗い出して対策すること)や、清掃・点検時に機械を止めているかなど、13項目について取組み状況を確認しています。

その結果、最も未実施が多かったのは、作業手順書や安全標識(注意を促す表示)の多言語表記で、27.1%の事業場が対応していませんでした。次いで多かったのが、安全教育後の理解度確認で、16.7%の事業場が実施していませんでした。

▼ 自主点検で未実施が多かった項目
・作業手順書や安全標識の多言語表記 …… 27.1%が未対応
・安全教育後の理解度の確認 …… 16.7%が未実施

つまり、「教育はしたものの、その内容が本当に伝わったかを確認していない」というケースが少なくないということです。教えること自体に加えて、伝わったかどうかを確かめる仕組みづくりが、これからの安全管理のポイントになります。

3.企業がとるべき3つの対策

行政が公表した資料では、外国人労働者の労災防止のために、次の3つの取組みが示されています。

(1)わかりやすい教材で安全衛生教育を行う

文字だけの説明では伝わりにくいため、マンガ(外国語版)や動画など、見て理解できる教材を活用しましょう。厚生労働省は、外国人労働者向けのマンガ教材・動画教材を多数用意しているほか、英語・中国語・スペイン語・ポルトガル語の4種類の「未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル」(外国語版)も提供しています。これらは無料で活用できます。

(2)イラストやピクトグラムで注意を促す

文字だけでなく、イラストと外国語の注意書きを組み合わせると、危険が直感的に伝わります。あわせて、ピクトグラム(「非常口」のマークのように、意味を絵で表した記号)を使えば、言葉が読めなくても危険を理解しやすくなります。「機械に手を入れない」「点検・修理・清掃のときは機械を止める」といった注意を、絵で示すのが効果的です。

(3)作業手順を理解しているか「確認」する

作業手順を誤ったことによる外国人の労働災害が多発しています。教えるだけで終わらせず、安全教育の後に確認テストや実技を行い、作業手順や注意点を正しく理解できているかを確かめましょう。これが、前章で課題となった「理解度の確認」にあたります。

4.生成AIの活用も提案されています

茂原労基署は、生成AI(指示に応じて文章などを自動で作成するAI)の活用も提案しています。たとえば「〇〇語で、安全教育の資料と、その内容に対応する確認テストを作ってください」のように指示すると、高水準な母国語の資料が作成できるとしています。

翻訳や教材づくりに時間や費用をかけにくい中小企業にとっても、母国語での安全教育・確認テストを手軽に用意できる手段として、活用を検討する価値があります。

5.自社の安全管理をチェックしてみましょう

行政が公表したチェックリストをもとに、自社の安全管理ができているかを点検してみましょう。1つでも「できていない」項目があれば、早めの改善が必要です。

▼ 外国人労働者の安全管理チェックリスト
□ 安全管理の責任者が定期的に現場を見回り、作業手順に誤りがないか安全指導をしている
□ 作業手順の誤りや安全装置の故障など、安全上の問題を見つけてすぐに直せる仕組みがある
□ 労働災害やヒヤリ・ハット(事故になりかけた出来事)があったとき、原因を調べて再発を防ぐ仕組みがある
□ 安全作業手順書や安全標識を、多言語対応・図表・写真などで外国人労働者にも分かるように作っている
□ 外国人労働者が理解できる方法で安全教育を行っている
□ 安全教育の後に、テストや実技で理解度を確認している
□ 日々の作業で安全手順が守られているかを確認する仕組みがあり、実際に守られている
□ 動力機械(モーターなどで動く機械)の作業、特に点検・修理・清掃といった非定常作業(ふだんとは違う作業)について、安全手順を定めている
□ 動力機械に安全カバーやインターロック(危険な状態では機械が動かないようにする仕組み)、非常停止装置などが備えられ、有効に機能している
6.まとめ

外国人労働者の労働災害を防ぐうえで重要なのは、「分かりやすく教えること」と、「本当に伝わったかを確認すること」の両方です。多言語の教材やイラスト・ピクトグラム、確認テストを組み合わせ、必要に応じて生成AIも活用しながら、外国人労働者が安心して働ける職場づくりを進めましょう。安全な職場環境の確保は、労働者の命と生活を守るだけでなく、企業への信頼と持続的な成長を支える基盤になります。

労務管理は当法人へご相談ください
当法人では、雇用にともなう、就業規則・社内ルールの整備、労務管理全般のサポートを行っています。「何から手をつければよいか分からない」「自社の安全管理が十分か確認したい」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。専門家が、貴社の状況に合わせてサポートいたします。

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この記事を書いたのは・・・

社会保険労務士法人エスネットワークス
社会保険労務士K・E

労働保険事務組合での実務経験を活かし、女性ならではの視点で、相談しやすく寄り添ったサポートを心がけています。


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